治療方針

基礎が大切

建物がどれほど美しくても、強固な基礎がなければいずれ崩れ落ちます。建物の基礎は外から見えませんが、非常に大切です。
一時的な解決は、一時的にしか続きません。へたに近道を行こうとすれば、多くの問題に遭遇するでしょう。
効果をあせってはいけません。時間をかけて得られたもののほうが長続きします。

自らの努力が必要

登山に例えれば、医療者は登山ガイド、山を登るのは患者さんです。医療者ができるのは、正しい道を示し、励まし、寄り添うことです。

毒には勝てない

綺麗な水の入った容器に、数滴の毒を入れるとその水は飲めなくなります。一方、毒の入った容器に綺麗な水を沢山入れても毒のままです。

身体に良いことをするよりも、身体に悪いことを避けましょう。

牛は褒めたときにしか乳を出さない

他人を批判する方が易しく、良いところを褒めることは難しいのです。
多くの人が他人の欠点探しに熱心です。

「あなたは若くて、能力がある、精一杯頑張ればきっと良くなると思う」

時間を無駄にしない 

時間を無駄にする方が易しく、それを賢く使うことは難しいのです。

時間は世界中の人々に平等に与えられた財産です。
お金はまた稼ぐことができます。しかし、失った時間は永遠に戻りません。

エネルギーを無駄にしない

無駄なおしゃべりは貴重な時間も浪費します。怒りも多くのエネルギーを消費します。

無駄なエネルギーを使うと、患部に栄養がいきません。しゃべりすぎは、記憶力を低下させ、老化を早めます。

プラス思考が大切

悪いことが起きたら、これぐらいで済んで良かったと思うべきなのです。失敗したら「もっと一生懸命にやろう、私に能力がないのではない」と考えましょう。

自分を責めて、自分を価値のない者であると思ってはいけません。失敗はそれを繰り返さなければ、過ちではありません。

絶望は最悪の薬 

絶望は人を盲目にし、さらなる病気の原因になります。

医療者はお金をあげることはできませんが、希望を与えることはできます。

過去は忘れる

いくら考えても、何をしても過去は変わりません。今現在が非常に大切なのです。

過去は多くの良いものを提示してくれますが、その一方で多くの否定的なことをくよくよ考えるものです。

物事は適量

子供が人の3倍食事をしても、3倍早く成長するわけではありません。食べ過ぎは、消化不良と不眠をもたらします。

寝だめ、食いだめはできません。日々の努力が大切なのです。

正しい努力をする

いじめ反対、戦争反対と叫んでも、その原因が何かをわかっていなければ無くなりません。
いつ治りますかという質問がありますが、正しい列車に乗らなければ、永遠に目的地に着きません。

祈りについて

自分で努力することを忘れてはいけません。高価な物を捧げても神は喜びません。

誤解している人が多いのですが、神がいるというのも宗教だし、神がいないというのも立派な宗教なのです。

物事にはふさわしい時期がある

20回叩かないと割れない石もあります。名人が作物の手入れをしても、秋にならなければ実がならないのです。

敵を知り己を知る

自分の能力を見極め、八分目を守りましょう。物事は0か1かではありません。歩いた方が良いかではなく、どれ位歩いた方が良いかなのです。

考えてから行動する 

あせって行動してはいけません。あせればしくじってしまいます。

泣いて治る病気も、怒って治る病気もない

怒りと憎しみと嫉妬が寿命を縮めます。

平常心を保つことが大切です。

量より質

患者さんに運動を教えたりすると、「何回すれば良いですか」と質問されます。変形性膝関節症の大腿四頭筋訓練も、回数ばかり気になって、きちんとした体操ができていない患者さんもいます。

大切なのは質であって量ではありません。

精一杯の努力をする

精一杯の努力とは、溺れたときに助けを呼ぶときぐらいの努力です。
神や仏に祈るのはその後です。努力をしなくても良いのは、身体が老いることだけです。

薬の役割 

治療に対して薬の役割は1/3で、残りの2/3は生活習慣の改善です。生活習慣を改善しなければ、世界最高の治療も効果がありません。
従来の医療は逆症療法と呼ばれ、発熱は解熱させ、下痢は止痢をはかり病気を治そうとしましたが、再発する危険が常にあるのです。
逆症療法はこれまで進歩してきましたが、病気の数も同じように増えてきました。

毎日の努力の積み重ねが大切

10人の敵と戦うときに、一度に戦えば負けてしまいます。しかし、一人ずつと戦っていけば勝てる見込みが出てきます。

ダイヤモンドだけが磨かれる

ダイヤモンドの原石が磨かれて、美しく輝くダイヤモンドになるのです。失敗や不幸がなければ、原石のままなのです。
失敗や不幸のない人生はありません。失敗や不幸から多くのことを学んで、人間的に進歩する、それが人生なのです。

リフレッシュも大切

海や川、湖へ行ってみましょう。人は水を見ると心が落ち着きます。

火は小さいうちに消す

ロウソクの火は、息で簡単に吹き消すことができます。ところが、山火事ではどうでしょうか。山火事に風が吹けば、さらに炎は大きくなり山火事は広がるでしょう。物事は小さいうちに対処した方が良いのです。 

火事の時には、火事の原因を探すよりもまず火を消すことが大切なのです。

死を忘れてはいけない

急に人が死ぬと私たちは驚きます。しかし、生きている人が死ぬことは当たり前のことです。本来死んだ人が生き返ったときに驚くべきなのです。

寝た子は起こせるが、寝たふりをした子は起こせない

どれほど良い医師でも、悪い習慣を手放したくないと心に決めている患者には無力です。

やる気を起こさせる、魔法の言葉はありません。ただし、冷たくあしらってはいけません。優しく思いやりをもって接しましょう。

怒った患者さんへの対応

反撃するのは簡単ですが、荒っぽい言葉でさらに油を注ぐべきではありません。

お腹を空かせた子供に食べさせようとしても、食べ物が熱すぎれば、たとえその食べ物がおいしいものであっても、それは口のなかをやけどさせるだけです。

医師の態度 

相手の話を遮らずに聞きましょう。相手の意見を否定しないことが大切です。患者さんの自信を引き出しましょう。

患者さんに健康法を教えるだけではなく、自分がまず実行することが最も大切です。