腰痛の原因は様々です。レントゲン撮影や問診から原因や対策を考えます。
腰痛の原因となる主な疾患
- いわゆる腰痛症(ぎっくり腰を含む)
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎分離症
- 腰椎すべり症
- 変形性腰椎症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎椎間板症
- 腰椎椎間関節症
- 腰椎黄色靱帯骨化症
- 仙腸関節由来の腰痛
- 腰椎部の腫瘍(癌の転移を含む)
- 帯状疱疹
- 尿管結石
- 腹部大動脈瘤破裂
いわゆる腰痛の原因
一般的な腰痛(いわゆる腰痛)の原因としては、長時間での作業、不良姿勢での作業などの疲労の蓄積が多いようです。また、体重増加や運動不足、寝不足なども原因になります。
腰痛の治療
- 一般的な腰痛ではレントゲン撮影後に、痛みに応じた投薬を行います。
- 痛みが強ければ、腰痛のコルセットを2つ付けたりもします。なお、コルセットは1つは保険適応(3割負担で600円程)ですが、2つめは自費(1800円)になります。
- リハビリ室での物理療法(干渉波、ホットリズミー、マイクロ波、牽引)も効果があります。
- 必要に応じて、座薬やトリガーポイント注射なども行います。
我慢が出来るので鎮痛剤は不要という患者さんがいますが、胃潰瘍やアレルギーがなければある程度の痛みは取ったほうが良いでしょう。我慢すると慢性の痛みに移行する場合があります。つまり我慢にも副作用があります。
腰痛の生活指導
- 寝不足や夜更かしは腰痛の危険因子です。
- 喫煙者には禁煙を勧めます。
- 体重増加が原因と思われるときは、減量方法を説明します。
- 必要な患者さんにはストレチングを指導します。
原因を除かないといずれ再発することが多いようです。
腰痛の鑑別診断
- 帯状疱疹
皮膚に発疹がないと帯状疱疹と診断が出来ません。初期に消炎鎮痛剤で痛みを取ることは必要です。 - 下肢症状の無い椎間板ヘルニア
MRIでないと診断がつきません。 - 非典型的な腹部大動脈瘤破裂
診断が困難です。
経過をみないと診断がはっきりしないものもあります。
腰痛の手術
腰痛だけの症状で手術になることは稀です。下肢が動かないなどの進行性の麻痺、頻尿、残尿感などの膀胱直腸障害では手術が必要です。
腰痛の予防
- 早起き早寝
早寝早起きは急にはできませんのでまず早起きして下さい。 - その日の疲れはその日にとって、翌日に持ち越さない
腰痛でよくある質問
ヘルニアですか?
ヘルニアですかとよく質問されますが、普通のレントゲンではヘルニアは写りません。これは日本整形外科学会監修の腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインにも記載されています。
椎間板ヘルニアでも手術に至らないような軽症例では、一般の腰痛症と同じような治療になります。ヘルニアにだけ効く薬はありません。最近は手術で無くヘルニアを注射(ヘルニコア、髄核を溶解させ内圧を下げる)で治す方法がありますが、注射後の安静は必要なようです。
坐骨神経痛ですか?
盲腸の患者さんが医師に腹痛ですか?とか、くも膜下出血の患者さんが頭痛ですか?と聞くのと同じです。坐骨神経痛の原因が問題なのです。
治らないのですか?
すべり症のすべりについては手術をしないと治りません。整骨院や整体へ行っても1mmも戻りません。
しかし、痛みやしびれは薬と正しい生活習慣で良くなる可能性が十分にあります。もちろん、今まで通りの生活をしていれば治らないかもしれません。
紙が丸まってしまったときに、元の平らな紙に戻すには紙を逆向きに巻くしかないのです。つまり、疲労が重なって症状が出ている場合は十分な休養が必要になります。そのときに、一日にできるのは一日分の努力です。人の身体では、寝だめ食いだめは出来ないのです。
一発で治したいのですが?
物を壊すことは一発で出来ます。しかし、壊れた物を治すには時間がかかります。
注射や薬で一時的に症状を抑えても、無理をしてしまうと逆に悪化する可能性があります。
腰痛の専門医を紹介して欲しいのですが?
脊椎(背骨)の手術を専門にする医師は沢山知っています。ただ、手術で無く腰痛を専門にみる医師は当院から紹介出来る範囲にはおりません。
なお、仙腸関節性の腰痛の場合は紹介することが出来ます。
医療法人桐の葉会 深沢整形外科
TEL 027-220-5277