痛風治療では薬だけではなく、食事療法が大切です。
痛風とは
尿酸塩(尿酸+Naイオン)の結晶が関節滑膜などに沈着し、あるときに発作性の痛みをおこすものです。
高尿酸血症(尿酸値7mg/dl越え)が一定期間存在しないと発生しません。
英語ではgout、ラテン語の一滴の液(gutta)に由来します。中世の西洋では腐った体液のしずくにより痛風が起きると考えられていました。
尿酸とは
1776年 スエーデンの科学者シェーレによって尿石から発見された物質で、人ではプリン体の最終産物です。
*イラストは健康用語WEB事典より
尿酸はビタミンCよりも強力な抗酸化作用があり、まったく不要な物質ではありません。
プリン体とは
プリン体とはプリン骨格をもつ物質の総称です。
プリン体は「うまみ」のもとで、体内で70~80%作られ、食べ物からは20~30%取り込まれます。
*イラストは健康用語WEB事典より
- イノシン酸・・・・カツオ、カツオ節、イワシ(煮干し)、サバ、鶏肉、豚肉、牛肉 など
- グアニル酸・・・・干ししいたけ(のり、ドライトマトなど)
- グルタミン酸・・・昆布、トマト、タマネギ、アスパラガス、ブロッコリーなど
なお、プリンはpuddingの略でプリン体とは関係ありません。
痛風はなぜ男性に多いのか
女性ホルモンのエストロゲンには尿酸排泄促進作用があるため閉経前の女性には少ないのです。閉経期を過ぎると痛風発作を起こす頻度が増えますが、男性ほどではありません。
痛風の薬物治療
痛風発作が治まってから薬物治療となります。
尿酸値を半年くらいかけて、ゆっくり下げることが大切です。急激な尿酸値低下は発作の引き金になります。
コルヒチンを最初の半年間は毎日1錠服用することにより、発作の頻度が下がります。
痛風発作の引き金
暴飲暴食、激しい運動、長時間の歩行、捻挫などのケガ、外科的手術、精神的ストレスが引き金になります
痛風の食事指導
肉や魚、アルコール類を控えることが大切です。植物性のプリン体はよほど大量に摂取しなかぎり問題ありません。納豆も通常では控える必要はありません。
よくある質問
肉を食べないと元気がでないのでは?
肉にしかない栄養素はありません。ゴリラやゾウは肉を食べませんがパワフルです。
江戸時代の飛脚は、江戸から京都までの500km近い道のりを3,4日で走りました。持久力があり小さいけれども頑丈な彼らの体に、西洋人は驚いたと言われています。
沖縄の人は豚肉で長寿なのではないですか?
沖縄の長寿の人は主食がサツマイモで、豚肉を食べることが出来たのは冠婚葬祭などの日しかなく、年に数回ほどだったそうです。
長寿の人で肉を食べている人も多いようですが、肉を食べて病気で亡くなった人は統計に入れられません。これは以前酒飲みが長寿(実際は酒が原因ですでに亡くなっている人を統計から外している)と同じです。
また、長寿の人が肉を食べているからといって、患者さんが肉を食べると長生きするかどうかは別の問題です。年齢が高くなると肉の消化がきつくなります。高齢者に肉を食べろと言う医師もいるようですが、私は勧めません。
適量のアルコールは身体に良いのではないですか?
少量のアルコールも脳の海馬を萎縮させ、記憶力が低下します。また動脈硬化も進みます。
コーヒーをたくさん飲んだ方がよいですか?
コーヒーの飲み過ぎは記憶力を低下させ、骨を弱くします。また、体質によっては利尿作用がつよく脱水になり血液中の尿酸値が上昇します。コーヒー牛乳1本程度はよいかもしれません。
医療法人桐の葉会 深沢整形外科
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