
下駄骨折とは
下駄骨折(げたこっせつ)は、足の小指側にある第5中足骨(だいごちゅうそくこつ)の付け根が折れる骨折です。
足を内側にひねったときなどに起こり、足の外側に痛みや腫れが生じます。
昔は下駄を履いているときに足をひねって起こることがあったため、「下駄骨折」という名前が付いたとされています。
現在では下駄を履く機会はほとんどありませんが、段差で足を踏み外したり、歩行中につまずいたり、スポーツ中に足をひねったりして発生します。
医学的には「第5中足骨基部裂離骨折」と呼ばれることが多く、足の外側に付着する腱や靱帯などに引っ張られて骨の一部が剥がれるように折れる骨折です。
どのような症状が出るのか
下駄骨折では、足の小指側、特に足の外側の出っ張った部分に痛みが生じます。
主な症状は次のとおりです。
- 足の外側が痛む
- 足の小指側が腫れる
- 皮下出血が出ることがある
- 歩くと痛い
- 骨折した部分を押すと強く痛む
足関節の捻挫と同時に起こることもあり、捻挫だと思っていたら骨折していたという場合もあります。
診断には通常、レントゲン検査を行います。
下駄骨折は手術が必要なのか
一般的な下駄骨折では、手術を必要とすることはほとんどありません。
第5中足骨の付け根の骨折にはいくつかの種類があり、下駄骨折は通常、最も付け根に近い部分の骨折(Zone 1)を指します。
この部分は比較的骨癒合が得られやすく、多少の骨片のずれがあっても保存療法で治ることが多い骨折です。
ただし、骨折の位置やずれの程度、関節面への影響などによっては、手術を検討する場合もあります。
また、下駄骨折より少し足先側で起こる「Jones骨折(ジョーンズ骨折)」は、骨癒合しにくいことがあり、下駄骨折とは治療方針が異なります。
当院での治療方法
深沢整形外科では、一般的な下駄骨折に対して、原則として手術を行わず保存療法で治療しています。
① 最初はギプスシーネで固定します
受傷直後は痛みや腫れが強いことが多いため、まずギプスシーネで固定します。
ギプスシーネは、足を完全に包み込むギプスとは異なり、取り外しが可能な固定具です。
骨折部の動きを抑えることで痛みを軽減し、歩行しやすくすることが主な目的です。
入浴時には取り外すことができますが、医師から指示された方法で使用してください。
歩行については、痛みの程度に応じて荷重を許可します。痛みが強い場合には、松葉杖などを使用することもあります。
② 痛みが軽減したらサポーターに変更します
痛みや腫れが軽減してきたら、ギプスシーネから次のような固定具に変更します。
アンクルクロス
足関節を支持し、足をひねる動きを抑えるサポーターです。
ソフラアーチ
足部を支持する装具で、足の状態に応じて使用します。
いずれもギプスシーネより日常生活を送りやすく、靴も履きやすくなります。
どちらを使用するかは、骨折の状態や痛みの程度などによって判断します。
③ 固定期間は6週間前後が目安です
固定期間は、一般的に6週間前後を目安としています。
ただし、痛みの程度や骨折の状態には個人差があるため、全員が同じ期間で固定を終了するわけではありません。
診察時の痛みやレントゲン所見などを参考に、固定終了の時期を判断します。
ギプスでしっかり固定しなくても骨はつくのか
下駄骨折は、骨折の中でも比較的骨癒合が得られやすい骨折です。
近年の研究では、典型的な下駄骨折に対して、ギプスで厳重に固定せず、痛みに応じて早期から歩行する治療でも良好な成績が報告されています。
固定を行う場合でも、その主な目的は、骨をつけることだけではなく、痛みを軽減して日常生活を送りやすくすることです。
当院では、受傷直後の痛みが強い時期にはギプスシーネを使用し、痛みが軽減したらサポーターに変更する方法を採用しています。
骨折したからといって、必ずしも長期間ギプスで固定する必要はありません。
下駄骨折は何週間で治るのか
一般的には、6~8週間程度で骨癒合が進み、日常生活での痛みも徐々に軽減します。
ただし、骨癒合までの期間と、痛みがなくなるまでの期間は必ずしも一致しません。
レントゲンで骨折線が残っていても、痛みがほとんどなく、日常生活に支障がない場合もあります。
反対に、骨癒合が進んでいても、歩行時の痛みや違和感が数か月残ることがあります。
骨癒合には個人差があり、レントゲンで完全な骨癒合が確認できるまでには、さらに時間がかかる場合もあります。
日常生活で注意すること
歩いてもよいですか?
痛みの許す範囲で歩くことは可能です。
ただし、痛みを我慢して無理に歩く必要はありません。痛みが強い場合には、歩行量を減らしてください。
入浴してもよいですか?
ギプスシーネは取り外しが可能ですので、医師の指示に従って入浴できます。
ただし、固定を外しているときに足をひねったり、滑って転倒したりしないよう注意してください。
車の運転はできますか?
骨折した足が右足の場合には、ブレーキ操作に支障が出る可能性があるため、特に注意が必要です。
左足の場合でも、痛みや固定具の種類、車の操作方法によって判断が必要です。
安全に操作できない間は運転を控えてください。
スポーツはいつからできますか?
日常生活での歩行が問題なくできるようになってから、徐々に運動量を増やします。
ランニングやジャンプなど、足に強い負担がかかる運動への復帰は、骨折の状態や痛みを確認して判断します。
一般的には6~12週間程度が一つの目安ですが、競技内容や回復状況によって異なります。
下駄骨折は偽関節になることがあるのか
偽関節とは、骨折した部分が長期間たっても骨癒合しない状態です。
下駄骨折では偽関節になることは少なく、多くの場合、保存療法で良好な経過をたどります。
ただし、まれに骨癒合が得られなかったり、痛みが長期間続いたりすることがあります。
痛みがなかなか改善しない場合には、骨折の状態を再評価する必要があります。
まとめ
下駄骨折は、足の小指側にある第5中足骨の付け根の骨折です。
足をひねったときに起こることが多く、足の外側に痛みや腫れが生じます。
一般的な下駄骨折では、手術を必要とすることはほとんどありません。
深沢整形外科では、最初はギプスシーネで固定し、痛みが軽減したらアンクルクロスやソフラアーチなどに変更しています。
固定期間は6週間前後を目安としていますが、痛みや骨折の状態に応じて調整します。
下駄骨折は、必要以上に長期間固定するのではなく、痛みを抑えながら日常生活への早期復帰を目指すことが大切です。