関節リウマチ|前橋市の深沢整形外科

関節リウマチは、免疫の働きに異常が起こり、関節に炎症を起こす病気です。

特に手指や手首、足趾などの小さな関節に腫れや痛みが現れやすく、左右の関節に症状が出ることも多くあります。朝起きたときに手がこわばり、動かしにくいことも特徴の一つです。

単なる「関節の老化」ではありません。関節の内側を覆っている滑膜に炎症が続くことで、軟骨や骨が次第に傷み、治療が遅れると関節の変形や機能障害につながることがあります。

しかし、現在は治療法が大きく進歩しています。早い段階で診断し、適切な治療を開始することで、関節の破壊を防ぎ、痛みや腫れのない状態を目指せるようになっています。関節リウマチと診断されたら、できるだけ早く治療を始めることが大切です。日本リウマチ学会のガイドラインでも、診断後早期から疾患修飾性抗リウマチ薬による治療を行うことが基本となっています。

こんな症状があるときは関節リウマチを疑います

手指や手首の関節が腫れる、朝に手がこわばる、複数の関節が痛む、左右同じような場所に症状がある、といった場合には関節リウマチの可能性があります。

ただし、手指の痛みや腫れがあるからといって、すべてが関節リウマチではありません。

変形性関節症、腱鞘炎、痛風・偽痛風、乾癬性関節炎、膠原病などでも似た症状がみられます。そのため、症状だけでなく診察、血液検査、レントゲン検査、必要に応じて超音波検査などを組み合わせて診断します。

関節リウマチの診断

関節リウマチでは、どの関節が腫れているかを診察することが非常に重要です。

血液検査では、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体、CRP、赤沈などを調べます。しかし、血液検査だけで診断できる病気ではありません。RFや抗CCP抗体が陰性でも関節リウマチの場合がありますし、逆に陽性でも関節リウマチでない場合があります。

レントゲンでは骨や関節の変化を確認します。発症早期にはレントゲンで異常が分からないこともあり、そのような場合には超音波検査が役立ちます。

当院では超音波検査を行い、関節内の滑膜炎や血流の増加などを確認することがあります。

→詳しい診断基準

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療目的は、単に痛みを軽くすることではありません。

関節の炎症を抑え、関節が壊れるのを防ぎ、これまで通りの日常生活をできるだけ長く続けられるようにすることが治療の目標です。

現在は「寛解」、すなわち病気の活動性がほとんどない状態、あるいはそれに近い低疾患活動性を目指して治療します。治療効果をみながら薬を調整していく「Treat to Target(目標達成に向けた治療)」という考え方が基本です。

抗リウマチ薬による治療

治療の中心となるのは、病気そのものの進行を抑える「抗リウマチ薬」です。

その中でもメトトレキサート(リウマトレックスなど)は、現在の関節リウマチ治療で中心となる薬の一つです。日本リウマチ学会も、メトトレキサートを関節リウマチ治療の基盤薬剤と位置づけています。

患者さんの年齢、腎機能、肝機能、肺疾患、感染症の有無などを考慮して薬を選択します。

十分な効果が得られない場合には、生物学的製剤やJAK阻害薬などを使用することがあります。これらの薬の登場により、以前は進行を止めることが難しかった関節リウマチでも、関節破壊を抑えられる患者さんが増えています。

一方で、感染症などの副作用にも注意が必要なため、定期的な診察と血液検査を行いながら治療します。JAK阻害薬などでは患者さんの年齢や心血管疾患、血栓症などの危険因子も考慮して薬剤を選択します。

痛み止めだけでは治療になりません

鎮痛薬やステロイドは、痛みや炎症を軽減するために使用することがあります。

しかし、痛みが軽くなっただけでは関節リウマチそのものが治ったとはいえません。関節破壊を防ぐためには、病気の活動性そのものを抑える治療が重要です。

日常生活も大切です

関節に強い炎症があるときには無理をせず、必要な休養をとることが大切です。一方、炎症が落ち着いているときには、関節を動かし筋力を維持することも重要です。

また、喫煙は関節リウマチの発症だけでなく、治療反応にも悪影響を及ぼすことが知られています。喫煙している方には禁煙をおすすめします。

リウマトレックス(メトトレキサート)服用での注意事項

サプリメントや健康食品類にビタミンのひとつである葉酸が多く含まれている場合(青汁や海藻類など)は、メトトレキサートの効果を減弱させ、せっかく安定していた関節リウマチを悪化させることもあります。

  1. 痰(たん)のからまない空咳、息切れ、呼吸困難感、発熱などの症状があらわれたら服用せずに、受診してください。
  2. かぜ症状(のどの痛み、頭痛など)が強いとき、微熱が続くとき、38°C以上の高熱が出たとき、咳や痰の多いとき、いつもと違う息苦しさがあるとき、リンパ節の腫れ、排尿時の痛みなどの膀胱炎症状があるときには、服用を一時中止しましょう。
  3. 生ワクチン(BCG、麻疹、風疹など)は接種しないでください。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは積極的に接種してください。

    詳しくは 資料をダウンロードしてください。

関節リウマチと喫煙

喫煙で関節リウマチの発症リスクが1.5倍から8倍になります。一日の本数よりも喫煙期間の長さが関係しているようです。生物学的製剤への反応も劣ると言われています。

関節リウマチでよくある質問

関節リウマチは遺伝しますか?

一卵性双生児の関節リウマチ発症確率は20%前後と考えられています。一般の人口における関節リウマチ発症頻度が0.5%ですから、一卵性双生児での発症頻度は40倍のリスクがあることになります。

本人との関係発症リスク
双子のどちらかが関節リウマチ40倍
親が関節リウマチ3.02倍
兄弟姉妹が関節リウマチ4.64倍
親と兄弟姉妹が関節リウマチ9.31倍

 関節リウマチ発症のしやすさに遺伝的な要因があるのは確かのようですが、発症に関する要因の大部分は、喫煙を含む生活習慣などの環境要因のようです。

同じ日本人でも、アメリカ居住者は発症頻度が高いようです。

ベテラン患者からあたらしい患者へのアドバイス

  1. ホームドクターと専門医を持つ
  2. 主治医を信頼し指示に従う
  3. マイペース(体調を知る、生活のテンポを遅く)
  4. 家族の理解を得る
  5. 友人と話す(病人の気持ちは病人にしかわからない)
  6. 周りに何もかも話してしまう
  7. 周囲の誘惑に惑わされない
  8. 副作用のおかげで現在生かされていると考える
  9. 気持ちの持ち方(積極性、気を長く、太っ腹で)
  10. 決めるのも闘うのも自分一人
  11. 闘うという気持ちを捨てる(病気を受け入れる)
  12. 目的を持つ
  13. 社会参加をする
  14. 打ち込めるものを持つ(趣味や仕事)
  15. 知識を知恵に変えていく 

    膠原病友の会滋賀県支部10周年記念誌、京都障害者団体定期刊行物協会、1994年11月23日、p9より

参考資料

関節リウマチの診断

●腫脹または圧痛のある関節数点数
中・大関節の1ヵ所0点
中・大関節の2~10ヵ所1点
小関節の1~3ヵ所2点
小関節の4~10ヵ所3点
最低1つの小関節を含む10ヵ所超5点
●血清反応(自己抗体)点数
RF、抗CCP抗体の両方が陰性0点
RF、抗CCP抗体のいずれかが低値陽性2点
RF、抗CCP抗体のいずれかが高値陽性3点
●罹病期間点数
6週未満0点
6週以上1点
●血清反応点数
CRP、ESRの両方が正常0点
CRPもしくはESRのいずれかが異常高値1点
6点以上で関節リウマチと診断する。ただし、ほかに症状を説明し得る疾患がないことが条件です。
  1. 中・大関節とは肩、肘、股、膝、足関節
  2. 小関節とは近位指節間(PIP)関節、中手指節(MCP)関節、第2~5中足趾節(MTP)関節,第1指節間(IP)関節、手関節、指の遠位指節間(DIP、患者さんの言う第1関節)関節は含みません。
  3. 高値陽性とは基準値の3倍以上

感度73.5-76.3%,特異度70.7-71.4%
感度とは真の陽性率のことで、病気の人が何%陽性に出るかです。感度80%なら、病気の人の80%が陽性にでます。特異度とは真の陰性率のことで、病気で無い人の何%が陰性に出るかです。特異度90%なら、健康な人の90%が陰性に出ます。

鑑別難易度

鑑別難易度疾患
高

頻度もスコア偽陽性になる可能性も比較的高い
1.ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス、風疹ウイルスなど)
2.全身性結合組織病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病,皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症)
3.リウマチ性多発筋痛症
4.乾癬性関節炎
中

頻度は中等または高いが、スコア偽陽性の可能性は比較的低い
1.変形性関節症
2.関節周囲の疾患(腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎,滑液包炎など)
3.結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風など)
4. 血清反応陰性脊椎関節炎(反応性関節炎,掌蹠膿疱症性骨関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患関連関節炎)
5.全身性結合組織病(ベーチェット病,血管炎症候群、成人スチル病、結節性紅斑)
6.その他のリウマチ性疾患(回帰リウマチ、サルコイドーシス、RS3PEなど)
7.その他の疾患(更年期障害、線維筋痛症)
低

頻度もスコア偽陽性になる可能性も低い
1.感染に伴う関節炎
2.全身性結合組織病(リウマチ熱、再発性多発軟骨炎など)
3.悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)
4.その他の疾患(アミロイドーシス、感染性心内膜炎,複合性局所疼痛症候群など)
関節症状を主訴に受診する患者集団における頻度、RAとの症状・徴候の類似性,新分類基準スコア偽陽性の頻度などを総合して、新分類基準を用いる際にRAと鑑別すべき代表的疾患を鑑別難易度高・中・低の3群に分類した。疾患名は日本リウマチ学会専門医研修カリキュラムに準拠した。