
膝蓋骨は、膝の前面にあるいわゆる「お皿」の骨です。転倒して膝を直接ぶつけた時などに骨折することがあります。
膝蓋骨骨折には、ほとんどずれのない骨折から、大きく転位して手術が必要になる骨折までさまざまなタイプがあります。治療方法は、骨折の形やずれの程度、膝を伸ばす機能が保たれているかなどによって決まります。
膝蓋骨の役割
膝蓋骨は、大腿四頭筋と膝蓋腱の間に位置しています。
膝を伸ばす時に、太ももの筋肉の力を効率よく脛骨へ伝える役割があります。
そのため膝蓋骨が大きく転位したり、膝伸展機構が途絶したりすると、自力で膝を伸ばせなくなることがあります。
原因
最も多いのは、転倒して膝の前面を直接地面にぶつけることです。
交通事故やスポーツなど、強い外力によって生じることもあります。
一方、膝を急激に伸ばそうとして大腿四頭筋に強い力がかかった際に、間接的な力で骨折することもあります。
症状
膝の前面に痛みや腫れが生じます。
皮下出血を伴うこともあり、膝を曲げたり伸ばしたりすると痛みが強くなります。
転位が大きい場合には、自力で脚を持ち上げたり膝を伸ばしたりすることが難しくなることがあります。
診断
通常はレントゲン検査で診断します。
正面像・側面像などから、骨折線、骨片の転位、関節面の段差などを確認します。
骨折の形が分かりにくい場合や、より詳細に骨片の状態を確認する必要がある場合にはCTを行うことがあります。
また、レントゲンで明らかな骨折が確認できない場合でも、症状が強ければMRIなどで不顕性骨折が見つかることがあります。
骨折の種類
膝蓋骨骨折には、横骨折、縦骨折、下極骨折、粉砕骨折などがあります。
同じ膝蓋骨骨折でも、骨折の方向や骨片の数によって安定性が異なるため、治療方法も変わります。
重要なのは、単に骨折線があるかどうかだけではなく、骨片のずれ、関節面の段差、膝を伸ばす機能が保たれているかを確認することです。
保存療法と手術療法
ずれの少ない膝蓋骨骨折では、手術をせず保存療法を行うことができます。
一方、骨片が大きく離れている場合、関節面の段差が大きい場合、膝伸展機構が保たれていない場合などには、手術が検討されます。
ただし、レントゲンで骨折があるから必ず手術になるわけではありません。骨折の安定性と膝の機能を総合的に判断します。
治療中に注意すること
保存療法では、骨折部がずれてこないかを定期的に確認することが重要です。
治療開始時には安定して見えても、歩行や膝の運動によって骨片が転位する可能性があります。そのため、治癒するまでは定期的にレントゲン検査を行います。
また、長期間まったく膝を動かさないと、関節が硬くなったり大腿四頭筋が弱くなったりすることがあります。
固定による安定性と、膝の動きを保つことのバランスが重要になります。
骨がつくまでの期間
骨癒合には通常数週間以上かかります。
ただし、レントゲンで骨がついてきたことと、すぐにすべての運動やスポーツが可能になることは同じではありません。
骨折の形、年齢、骨粗鬆症の有無などによって回復の速度は異なります。
後遺症
順調に骨癒合しても、一時的に膝の曲げにくさや大腿四頭筋の筋力低下が残ることがあります。
また、関節面に大きな段差が残った場合には、将来的に膝蓋大腿関節の変形性関節症につながる可能性があります。
一方、転位の少ない骨折では、適切に治療すれば良好な機能回復が期待できます。
当院での治療方針
大腿よりギプスシーネ
入浴やシャワーは許可
約1週間後
支柱付き膝サポーター
早期運動、定期レントゲン
部屋の中はサポーターなし
部屋の外もサポーターなし
よくある質問
膝蓋骨骨折は必ず手術が必要ですか?
いいえ。ずれの少ない骨折では、手術をせず保存療法で治療できることがあります。
歩いてもよいのでしょうか?
骨折の形や安定性によって異なります。自己判断せず、診察時に確認してください。
膝を動かすと骨がずれませんか?
骨折の安定性によって異なります。動かしてよい範囲を判断しながら治療を進めます。
いつから入浴できますか?
ギプスシーネを外して当日から入浴可能です。痛みが強くて心配であれば、シャワーにして下さい。
骨がついた後も膝が硬くなりますか?
固定期間や骨折の程度によっては、一時的に曲げにくさが残ることがあります。適切な時期から膝を動かすことが重要です。