腰痛で通院中の女性患者さんから、「3Lのコルセットが欲しいのですが」と言われました。詳しく話を聞くと、ご本人用ではなく、腰痛のあるご主人用とのことでした。
当院でも腰痛用コルセットやサポーターなどを自費で販売していますが、基本的には当院を受診した患者さんに対して、診療の中で必要性やサイズなどを確認したうえで販売しています。
では、受診していない家族のためにコルセットだけを購入することはできるのでしょうか。
厚生労働省は、医療法人が病院や診療所の業務に附随して行うことのできる業務として、施設内で「患者及びその家族」を対象に、「医療提供又は療養の向上の一環」として行われる業務を挙げています。
したがって、受診していない家族への物品販売が一律に禁止されているわけではないようです。
しかし、医療機関での物品販売は一般の小売店とは少し性格が異なります。今回のように、ご主人を診察していなければ、腰痛の原因も分かりませんし、そのコルセットが必要なのか、3Lというサイズが適切なのかも確認できません。その状態でコルセットだけを販売することが「療養の向上の一環」といえるのかは疑問が残ります。
一方、販売するサポーターの商品名や本来の用途が、患者さんの病名と完全に一致していなければならないわけではないでしょう。例えば「CM関節症用」として販売されている母指サポーターでも、ドケルバン病の患者さんに医学的に有用と判断して使用を勧めることはあり得ます。重要なのは商品名ではなく、その患者さんの療養に役立つものとして医師が判断しているかどうかだと思います。
今回は、「ご主人を診察していないので、当院ではコルセットだけをお売りすることはしていません」と説明しました。
医療機関での自費物品販売は患者さんにとって便利ですが、「患者さんの療養のための販売」と「一般の物品販売」の境界は、意外と難しいものですね。

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