自賠責の自由診療で請求したベースアップ評価料相当額は認められるのか?

交通事故の患者さんを自賠責の自由診療で診療する場合、健康保険の診療報酬点数を参考にして医療費を算定することがあります。

そこで問題になるのが、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)」に相当する費用です。

ベースアップ評価料は、医療従事者の賃金改善を目的として診療報酬に設けられた評価料です。厚生労働省でも、ベースアップ評価料について施設基準や算定方法が定められています。

では、自賠責の自由診療で、ベースアップ評価料に相当する金額を請求した場合、この部分は治療費として認められるのでしょうか。

実務上は、そのまま認定されている

損害保険料率算出機構での取扱いを確認したところ、実務上は、自由診療の医療費にベースアップ評価料相当額が含まれていても、この部分だけを取り上げて問題とすることはなく、そのまま認定しているとのことでした。

その理由は、次のような考え方によるようです。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)は、医療に従事する職員の賃金改善を目的とした費用です。その意味では、個々の交通事故患者の治療に直接必要な処置や検査の費用とは性格が異なります。

しかし、これまでの診療報酬改定でも、医療機関の体制整備など、個々の患者の治療そのものとは直接結びつかないと思われる費用が診療報酬に含まれてきました。

それらについて自賠責の支払対象から一律に除外してきたわけではありません。

そのため、ベースアップ評価料だけを「患者の治療に直接必要な費用ではない」という理由で支払対象外とすることは、これまでの取扱いとの整合性がとれない、という考え方です。

「ベースアップ評価料だから自賠責では請求できない」とはならない

したがって、自賠責の自由診療において、

「ベースアップ評価料は職員の賃上げのための費用だから、自賠責では認められない」

と単純に考える必要はないようです。

実務上は、健康保険診療で算定されるベースアップ評価料相当額を自由診療の医療費に含めて請求していても、そのことだけを理由として減額する取扱いにはなっていないとのことです。

ただし、自賠責の損害調査を行う損害保険料率算出機構自身も、自賠責保険からの最終的な支払額を決定するのは損害保険会社等であると説明しています。

したがって、「自賠責では必ず支払われる」とまで断定するのではなく、

「現在の実務上、ベースアップ評価料相当額だけを特に除外する取扱いにはなっていない」

と理解するのが適切だと思います。

まとめ

外来・在宅ベースアップ評価料は、医療従事者の賃金改善を目的とした診療報酬です。

個々の患者の治療に直接対応する費用とは言いにくい面がありますが、診療報酬には従来から医療機関の体制整備などに関する評価も含まれています。

そのため、自賠責の自由診療でベースアップ評価料相当額を請求した場合でも、この評価料だけを支払対象外とすることは従来の取扱いとの整合性を欠くとして、実務上はそのまま認定されているとのことです。

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