職場トイレの怪我は労災です

職場のトイレで転倒して足首を捻挫した患者さんが来院されました。

労災になる可能性が高いと説明すると、「自分の不注意ですから」と言われました。さらに「昼休みでした」とのことでした。

しかし、労災かどうかは、本人に不注意があったか、休憩時間だったかだけで決まるものではありません。

厚生労働省は、昼休みや就業前後に事業場施設内にいて、実際には業務に従事していない場合について、私的行為による災害は原則として業務災害にはならないとしています。

一方で、トイレなどの生理的行為は、事業主の支配下で業務に付随する行為として扱われ、このときに生じた災害は就業中の災害と同様に業務災害になると明記しています。

つまり、

「昼休みだから労災ではない」
「自分の不注意で転んだから労災ではない」

ということにはなりません。

職場内のトイレに行くことは、仕事をするうえで通常必要となる生理的行為です。その途中やトイレ内で転倒してケガをした場合は、一般に労災として扱われます。社会保険労務士の解説でも、昼休みに社内のトイレで転倒したケースは、業務遂行性・業務起因性が認められ、労災に該当すると説明されています。

もちろん、休憩時間中のすべてのケガが労災になるわけではありません。

たとえば昼休みに私用で外出し、その途中で転倒したような場合は、通常は私的行為です。一方、事業場内の設備や管理状況が原因となった事故や、トイレ・飲水などの生理的行為中の事故は、業務災害と判断されることがあります。

また、

「労災にすると会社に迷惑がかかるので健康保険を使いたい」

と言われることもあります。

しかし、業務災害に該当するケガについて、本人の希望だけで健康保険と労災保険を自由に選べるわけではありません。

医療機関としては、どこで、どのような状況でケガをしたのかを確認し、業務災害の可能性が高ければ労災として扱うのが原則だと思います。

実際には、労災と説明すると「では帰ります」と言われる患者さんもいます。

患者さんとのやり取りをどこまで深く行うかはケースバイケースですが、少なくとも「職場のトイレでのケガは、昼休みでも労災になることがある」という点は知っておいた方がよいでしょう。

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