カテラン硬膜外注射はなぜ点数が低いのか?

硬膜外腔に薬液を注入する治療には、通常の硬膜外ブロックと、カテラン硬膜外注射があります。

どちらも硬膜外腔に薬液を注入する治療ですが、診療報酬上の点数には大きな違いがあります。

では、なぜカテラン硬膜外注射の点数は低いのでしょうか。

その理由を考えるうえで重要なのは、カテラン硬膜外注射は、単にカテラン針を使って行う硬膜外ブロックではないということです。

1.カテラン硬膜外注射とは

カテラン硬膜外注射は、一般にカテラン針を使用して硬膜外腔に薬液を注入する治療です。

しかし、使用する針の種類だけで診療行為が決まるわけではありません。

カテラン硬膜外注射では、基本的に局所麻酔薬を使用せず、ステロイド薬などを硬膜外腔に注入します。

つまり、局所麻酔薬によって神経の伝導を遮断する通常の硬膜外ブロックとは、治療の目的や薬液の作用が異なります。

この違いが、診療報酬を理解するうえで重要になります。

2.通常の硬膜外ブロックとの違い

通常の硬膜外ブロックでは、局所麻酔薬を硬膜外腔に注入し、神経の伝導を一時的に遮断することで鎮痛効果を得ます。

局所麻酔薬の作用によって、下肢の感覚低下や筋力低下、血圧低下などが生じることがあります。

そのため、注射後には患者の状態を観察し、必要に応じて血圧や運動機能などを確認する必要があります。

一方、カテラン硬膜外注射では、基本的に局所麻酔薬を使用しません。

したがって、局所麻酔薬による運動麻痺や血圧低下などを前提とした麻酔後の管理は、通常必要ありません。

通常の硬膜外ブロックとカテラン硬膜外注射では、注射後に必要となる管理が異なるのです。

3.カテラン硬膜外注射の点数が低い理由

診療報酬は、単に注射針を刺す技術だけで決まるものではありません。

使用する薬剤、手技の難易度、危険性、注射後の管理なども、医療行為の評価を考えるうえで重要な要素です。

通常の硬膜外ブロックでは、局所麻酔薬による神経遮断が生じるため、注射後の観察や管理が必要になります。

これに対して、カテラン硬膜外注射では基本的に局所麻酔薬を使用しないため、通常の硬膜外ブロックと同じような麻酔後管理は必要ありません。

この注射後の管理の違いが、カテラン硬膜外注射の点数が低く設定されている理由だと考えられます。

つまり、カテラン針を使用するから点数が低いのではなく、通常の硬膜外ブロックとは医療行為の内容が異なるということです。

なお、厚生労働省の通知で、この点数差の理由が明示されていることまでは確認できていませんが、診療行為の内容から考えると合理的な説明だと思います。

4.カテラン針を使えばカテラン硬膜外注射になるのか?

ここは誤解されやすい点です。

「カテラン硬膜外注射」という名称から、カテラン針を使って硬膜外腔に注射すれば、すべてカテラン硬膜外注射になると考えるかもしれません。

しかし、カテラン硬膜外注射は、単にカテラン針を使用して行う硬膜外ブロックではありません。

例えば、カテラン針を使用して腰部硬膜外腔に局所麻酔薬を注入し、神経遮断を行った場合です。

この場合、使用した針がカテラン針であっても、実際に行った医療行為は通常の腰部硬膜外ブロックです。

逆に、局所麻酔薬を使用せず、ステロイド薬などを硬膜外腔に注入するカテラン硬膜外注射を、通常の硬膜外ブロックとして算定することにも疑問があります。

つまり、使用する針の種類ではなく、実際に行った医療行為の内容によって算定区分が決まるということです。

5.局所麻酔薬を使用しなければ安全なのか?

カテラン硬膜外注射では、通常の硬膜外ブロックのような局所麻酔薬による神経遮断を目的としていません。

そのため、局所麻酔薬による運動麻痺や血圧低下などは基本的に問題になりません。

しかし、硬膜外腔への穿刺である以上、一定の危険性はあります。

例えば、硬膜穿刺、血管損傷、感染、神経損傷などです。

また、ステロイド薬を使用する場合には、薬剤そのものの副作用にも注意する必要があります。

したがって、通常の硬膜外ブロックのような麻酔後管理が不要であることと、注射後の安全確認が一切不要であることは別です。

カテラン硬膜外注射も、適切な手技と安全管理を前提として行う必要があります。

6.まとめ

カテラン硬膜外注射と通常の硬膜外ブロックは、どちらも硬膜外腔に薬液を注入する治療ですが、その内容は異なります。

通常の硬膜外ブロックでは局所麻酔薬による神経遮断を行うため、注射後の観察や管理が必要です。

一方、カテラン硬膜外注射では基本的に局所麻酔薬を使用しないため、通常の硬膜外ブロックのような麻酔後管理は必要ありません。

この違いが、診療報酬の点数差を説明する重要な要素だと考えます。

また、カテラン針を使用していても、局所麻酔薬を硬膜外腔に注入して神経遮断を行ったのであれば、それは通常の硬膜外ブロックです。

カテラン硬膜外注射は、単にカテラン針を使った硬膜外ブロックではありません。

診療報酬を考える際には、使用する針の名称ではなく、実際に行っている診療行為の内容を理解することが重要だと思います。

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