昔から「五十肩は同じ肩には二度ならない」と言われることがあります。
実際、五十肩の中でも凍結肩は、反対側の肩に発症することはありますが、いったん治った同じ肩に典型的な凍結肩がもう一度起こることは比較的まれとされています。
ただし、「絶対に二度ならない」というわけではありません。
では、なぜ同じ肩には再発しにくいのでしょうか。
凍結肩では、関節包に炎症が起こり、その後、線維化や拘縮を生じ、さらに時間をかけてリモデリングが進んでいきます。一度この過程を経た関節包では組織の状態が以前とは変化しているため、同じ病態を最初から繰り返しにくくなるのではないか、と考えることはできます。
しかし、これは病態から考えた一つの仮説にすぎません。「凍結肩が同じ肩に再発しにくいのは、関節包が一度リモデリングされたからである」と証明されているわけではなく、再発が少ない理由はまだよく分かっていません。
また、「五十肩が再発した」と思われる場合には、本当に凍結肩なのかをもう一度考える必要があります。
腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症など、別の病気でも肩の痛みや可動域制限は起こります。そのため、以前に五十肩になったことがあるからといって、二度目の肩痛も五十肩とは限りません。
一方で、「五十肩は同じ肩には二度ならない」という昔からの経験則があったために、二度目の肩痛では別の原因を探すようになり、結果として「再発は少ない」と認識されてきた可能性も考えておく必要があります。
結局、「五十肩は同じ肩には二度ならない」というのは絶対的な法則ではありませんが、典型的な凍結肩が同じ肩に再発することは少ないようです。
興味深いのは、「なぜ少ないのか」がまだよく分かっていないことです。
医学には、昔から経験的に言われてきたことが、後になって研究で裏付けられることがあります。一方で、経験的にはもっともらしくても、その理由がまだ十分に説明されていないこともあります。
「五十肩は同じ肩には二度ならない」という話も、その一つなのかもしれません。

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