健康保険傷病手当金

健康保険傷病手当金についてまとめてみました。

傷病手当金の申請書を患者さんから持ってこられ、「仕事ができないと書いてください」と言われることがあります。調べてみると、医師が意見書を書くことと、「労務不能」と認めることとは分けて考える必要があるようです。

まず、診察した医師には、正当な理由なく診断書等の交付を拒むことはできないとされています。したがって、傷病手当金の意見書についても、診察所見に基づいて意見を記載することになります。ただし、「労務不能と認める」と書く義務があるわけではなく、労務可能と判断したのであれば、その医学的判断を記載すればよいことになります。

傷病手当金意見書交付料は100点ですが、厚生省の通知では「医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごと」に算定するとされています。つまり、意見書を書いても、医師が労務不能とは認めなかった場合には、この100点は算定できません。

また、昭和3年10月9日付の「労務不能期間ノ医師ノ意見書ト施行規則第六十七条トノ関係ニ関スル件」という通知が、現在も厚労省の通知データベースに掲載されています。そこには、健康保険組合は意見書の内容が不明確であれば、医師に説明を求めたり報告を求めたりすることはできるが、「保険医ノ意ニ反シ意見書ニ必要事項ヲ記入スヘキ様命スルコトヲ得サル」と明記されています。つまり、保険者が医師の医学的判断に反して、「労務不能と書き換えてください」と命じることはできません。

一方で、申請内容が不明確な場合に、保険者が患者本人に不明点を示し、患者から医師に意見書の補充や書き換えを依頼してもらうことは差し支えない、ともされています。

さらに、主治医から労務不能との意見が得られなかった場合でも、それだけで傷病手当金の申請が終わるわけではありません。厚労省は、患者本人の同意があれば保険者が産業医の意見を聴き、主治医と産業医の双方の意見を参酌して適切に判断するよう示しています。

つまり、主治医の役割は患者さんの希望どおりに「労務不能」と証明することではなく、診察した結果に基づいて医学的な意見を書くことです。支給・不支給を最終的に決めるのは保険者であり、主治医が労務不能と認めなかった場合でも、職務内容や産業医の意見などを踏まえて判断される仕組みになっています。

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