患者さんの話をよく聞く医師は良い医師?

「患者さんの話をよく聞いてくれる良い先生だった」という話を耳にすることがあります。もちろん、患者さんの話を聞くことは診療の基本です。ただし、長く話を聞くことと、良い診療をすることは必ずしも同じではありません。

診断には、まず医師側の知識が必要です。例えば、ある病気の存在そのものを知らなければ、患者さんが症状や経過を詳しく説明しても、その診断にはなかなかたどり着けません。患者さんの話の中から重要な情報を拾い上げ、医学的知識と結びつけて初めて、問診が診断につながります。

つまり、「よく聞くこと」だけでなく、「何を聞くべきかを知っていること」が重要です。

当院では初診時に問診票を記入していただいています。問診票は単なる受付書類ではなく、「いつから、どこが、どのようなときに痛むのか」を患者さん自身に整理していただくためのものでもあります。

診察では、記載された内容を確認したうえで、診断に必要な点をさらに質問します。問診票と診察を組み合わせることで、限られた診療時間の中でも必要な情報を効率よく把握することができます。

もちろん、患者さんが何気なく話した一言が、診断の大きな手がかりになることもあります。一方、患者さんが重要だと感じていることと、医学的に診断上重要な情報が一致しない場合もあります。

医師の役割は、話を遮らずにただ長く聞くことでも、短時間で話を終わらせることでもありません。患者さんの訴えを理解し、その中から必要な情報を整理し、不足している点を質問し、診察や検査につなげることです。

良い問診とは、単に「長く聞くこと」ではなく、「必要なことを的確に聞き出すこと」なのだと思います。

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