膝半月板ロッキングの解除は、関節脱臼整復術か関節授動術か

膝の半月板がロッキングして、膝が伸展できない患者さんが受診することがあります。関節内に局所麻酔をしてロッキングを解除するのですが、どの項目で算定したら良いのでしょうか。

候補として思い浮かぶのは、「関節脱臼非観血的整復術」と「関節非観血的授動術」です。

令和8年度の診療報酬では、

K061 関節脱臼非観血的整復術
3 膝関節脱臼非観血的整復術 1,800点

K075 関節非観血的授動術
3 膝関節非観血的授動術 1,590点

となっています。

半月板ロッキングでは、膝関節そのものが脱臼しているわけではありません。転位した半月板などが関節内で機械的に挟まり、膝の伸展ができなくなっている状態です。

したがって、このロッキングを徒手的に解除した処置を「膝関節脱臼非観血的整復術」とするのは、病態から考えると少し無理があるように思います。

一方、「関節非観血的授動術」は、関節を切開せずに徒手的操作によって可動域を回復させる手技です。半月板ロッキングに対して局所麻酔下に徒手操作を行い、伸展不能の状態から関節運動を回復させるという実際の手技を考えると、こちらの方が病態にも処置内容にも合っているのではないでしょうか。

もちろん、K075の「関節非観血的授動術」は、一般には拘縮した関節に対する授動を想定している項目と思われます。半月板ロッキング解除を明示的にK075で算定するよう定めた通知を、私は確認できていません。

しかし、少なくとも「脱臼していない膝に対して、膝関節脱臼非観血的整復術を算定する」よりは、「徒手操作によって関節の運動障害を解除した」として膝関節非観血的授動術を算定する方が、手技の実態には近いように思います。

診療録には、

「半月板ロッキングにより伸展不能。関節内局所麻酔後、徒手的にロッキングを解除し、伸展可能となった」

など、処置前後の状態と実際に行った手技を具体的に記載しておくことが重要だと思います。

半月板ロッキングの解除は、脱臼の整復というより、関節運動を妨げている機械的障害を徒手的に解除して可動域を回復させる処置です。

その意味では、膝関節脱臼非観血的整復術よりも、膝関節非観血的授動術として扱う方が妥当ではないかと考えています。

本稿は公開されている診療報酬点数表、通知、審査情報をもとにした解説です。個々の症例の算定可否は、実際の診療内容等によって判断されます。

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