骨折観血的手術か関節内骨折観血的手術か

関節内骨折だからといって、すべて「関節内骨折観血的手術」で算定できるわけではありません。

以前は、「関節内骨折観血的手術の方が高点数だから、関節内骨折ならそちらで算定した方が得」と思われている医療機関もあったようですが、令和6年度までは必ずしもそうではありませんでした。

令和6年度の点数は以下のとおりでした。

K046 骨折観血的手術
・肩甲骨、上腕、大腿 21,630点
・前腕、下腿、手舟状骨 18,370点
・鎖骨、膝蓋骨、手、足、指その他 11,370点

K073 関節内骨折観血的手術
・肩、股、膝、肘 20,760点
・胸鎖、手、足 17,070点

つまり、令和6年度では、たとえば上腕骨骨折のK046は21,630点で、肩関節内骨折のK073は20,760点でした。前腕骨骨折もK046が18,370点で、手関節内骨折のK073は17,070点でした。

ところが、令和8年度改定ではK073が引き上げられました。

令和8年度は、

K046 骨折観血的手術
・肩甲骨 21,630点
・上腕骨 21,630点
・大腿骨 21,630点
・前腕骨 18,370点
・下腿骨 18,370点
・手舟状骨 18,370点
・鎖骨、膝蓋骨、その他の手足の骨など 11,370点

K073 関節内骨折観血的手術
・肩 22,836点
・股 22,836点
・膝 22,836点
・肘 22,836点
・胸鎖 17,070点
・手 18,777点
・足 18,777点
・肩鎖、手指、足趾 11,990点

となっています。

令和8年度では、肩・股・膝・肘の関節内骨折観血的手術は22,836点となり、対応する通常の骨折観血的手術より高くなりました。手関節・足関節についても18,777点となり、前腕骨・下腿骨のK046 18,370点を上回っています。

したがって、令和8年度からは「関節内骨折観血的手術の方が高点数」という場面が増えました。

ただし、点数が高いからという理由でK073を選択することはできません。

問題は、「どのような手術を行った場合に関節内骨折観血的手術といえるのか」です。

関節内骨折観血的手術というと、「関節包を切開して関節面を直接見ながら整復した場合だけ」と考える人もいるかもしれません。

しかし、私は必ずしも関節包を切開することが絶対条件ではないのではないかと思います。

たとえば関節内骨折に対して、透視を用いながら関節面の段差や転位を確認し、関節面を正確に整復して内固定を行う手術があります。関節包を大きく切開して直接関節面を露出しなくても、実質的には関節内骨折を整復・固定することを目的とした手術です。

このような場合まで、「関節包を切開していないからK073ではなくK046」と一律に扱うのが妥当なのかは疑問があります。

重要なのは、単に骨折線が関節内に及んでいるかどうかではなく、実際に関節面の整復を目的とした手術を行っているかどうかだと思います。

たとえば肘頭骨折でも、関節面を含む骨折を正確に整復固定したのであれば、K073の肘関節内骨折観血的手術を検討する余地があります。一方、単に肘頭骨折だからという理由だけで自動的にK073となるわけではなく、手術内容から算定根拠を説明できることが重要です。

抜釘についても違いがあります。

令和8年度のK048 骨内異物除去術は、
・肩甲骨、上腕骨、大腿骨 7,870点
・前腕骨、下腿骨 5,200点
・鎖骨、膝蓋骨、手、足など 3,620点

です。

一方、K065 関節内異物除去術は、
・肩、股、膝 12,540点
・胸鎖、肘、手、足 4,600点
・肩鎖、手指、足趾 2,950点

となっています。

したがって、手術時だけでなく抜釘まで含めて考えると、部位によって点数関係はかなり異なります。

また、労災では手関節以下の手術について健康保険とは異なる算定倍率が適用されるため、事情が変わります。令和8年度の労災診療費算定基準でも、手関節内骨折観血的手術は健康保険点数18,777点に対して労災では2倍算定の対象です。

結局のところ、K046かK073かは、単に「関節内骨折かどうか」だけでなく、実際にどの部位をどのように整復し、どのような手術操作を行ったかで判断すべきだと思います。

特に令和8年度はK073が引き上げられたため、今後は審査でも算定根拠がより重要になる可能性があります。

関節包を切開したかどうかだけではなく、「関節面を正確に整復する手術であったか」という実質的な手術内容を、手術記録にきちんと残しておくことが重要だと思います。

参考
膝蓋骨骨折で関節内骨折観血的手術は算定できるか

大腿骨頚部骨折は関節内骨折なのに、なぜ関節内骨折観血的手術で算定できないのか?

本稿は公開されている診療報酬点数表、通知、審査情報をもとにした解説です。個々の症例の算定可否は、実際の診療内容等によって判断されます。

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