骨粗鬆症の患者さんでは、知らないうちに背骨の圧迫骨折(椎体骨折)が起きていることがあります。
椎体骨折は必ずしも強い痛みを伴うとは限らないため、レントゲンを撮って初めて「以前にはなかった骨折がある」と分かることもあります。
当院では骨粗鬆症の患者さんについて、必要に応じて年1回程度、腰椎レントゲンを撮影し、新たな椎体骨折や既存骨折の変化、腰椎の変性などを確認しています。
その際に注意しているのが、撮影する範囲です。
通常の腰椎レントゲンでは、腰椎はよく写っていても、その上にある第11・第12胸椎(T11・T12)が十分に写っていないことがあります。
骨粗鬆症による椎体骨折は、胸椎と腰椎の境目である胸腰椎移行部にも多く発生します。
せっかく定期的に撮影するのであれば、この部分を外してしまうのはもったいありません。
そのため当院では、骨粗鬆症の経過観察を目的として腰椎側面像を撮影する場合には、できるだけT11から仙骨までが入るようにしています。
では、胸椎全体も毎年撮影した方がよいのでしょうか。
私は、骨粗鬆症の患者さん全員に毎年胸椎レントゲンまで撮影する必要はないと考えています。
そもそもレントゲン撮影の目的は、骨粗鬆症治療薬が効いているかどうかを画像の濃さで判定することではありません。
重要なのは、新しい椎体骨折が起きていないかを確認することです。
新たな椎体骨折が見つかれば、その患者さんの骨折リスクを改めて評価し、現在の骨粗鬆症治療を継続するのか、より強力な治療へ変更するのかを検討する必要があります。
胸椎まで含めた画像評価を積極的に考えたいのは、すでに胸椎を含む椎体骨折がある方、最近椎体骨折を起こした方、骨密度が非常に低い方、長期間ステロイドを使用している方などです。
また、定期撮影とは関係なく、
・新たに胸や背中が痛くなった
・以前より背中が丸くなった
・以前の測定より身長が2cm以上低くなった
・若い頃の身長より4cm以上低くなった
・新たな脆弱性骨折を起こした
といった場合には、新しい椎体骨折が隠れていないかを調べる必要があります。
特に身長低下は重要です。
椎体骨折は痛みなく起こることもあるため、「背中が痛くないから骨折していない」とは限りません。
骨粗鬆症の経過観察では、骨密度の数値だけを見るのではなく、「新しい骨折を起こしていないか」を確認することが重要です。
当院では、腰椎レントゲンを撮影するときには胸腰椎移行部までできるだけ含め、胸椎については全員に毎年撮影するのではなく、これまでの椎体骨折、骨折リスク、身長低下、円背の進行、胸背部痛などから必要性を判断する、という方法が現実的だと考えています。

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