外来で「膝がポキポキ鳴るのですが、大丈夫ですか」と聞かれることがあります。
膝の音は珍しいものではありません。研究では一般の人の約4割、膝に痛みのない人でも3割以上に膝の音が認められています。一方、変形性膝関節症の患者さんでは8割前後にみられるとの報告があります。
では、なぜ膝は鳴るのでしょうか。
原因は一つではありません。単発の「ポキッ」という音は、関節内での気泡形成など、生理的な現象でも起こります。
一方、膝を曲げ伸ばしするたびに「コキコキ」「ゴリゴリ」と鳴る場合には、膝蓋骨の動き、軟骨表面の不整、半月板、腱などが関係していることがあります。
ただし、「膝が鳴る人の何%は気泡、何%は軟骨が原因」というように、音の原因別の割合を示した信頼できるデータは、意外にありません。音だけから、その原因を特定することも困難です。
膝の音と年齢には関係があります。
症状のない人でもMRIで調べると、軟骨の変化は40歳未満では約1割なのに対し、40歳以上では4割以上にみられるとの報告があります。半月板の変化も年齢とともに増えていきます。
そのため、中高年になるほど、軟骨や半月板などの加齢による変化を背景として膝の音が出やすくなることは考えられます。
ただし、「音がする=軟骨がすり減っている」「音がする=治療が必要」ということではありません。
痛みや腫れがなく、引っかかりや膝崩れなどもなければ、音だけで治療の対象になることは通常ありません。
「膝がポキポキ鳴るのですが、大丈夫ですか」と聞かれたときには、
「膝が鳴ること自体は珍しくありません。年齢とともに音は出やすくなりますが、音だけで病気というわけではありません。大事なのは、痛みや腫れ、引っかかりなどの症状を伴っているかどうかです」
と説明しています。

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