一度骨折した場所は、治ると前より丈夫になる?

「一度骨折した場所は、治ると骨が太くなるので、もうそこは折れにくくなる」という話を時々耳にします。

確かに、骨折が治る途中では骨折部の周囲に仮骨が形成され、骨は一時的に太くなります。断面積が増えるため、この時期には骨折部の力学的強度が増すことがあります。

しかし、仮骨はそのまま残るわけではありません。骨折が治った後も骨は少しずつ作り替えられ(リモデリング)、時間をかけて本来の骨の形に近づいていきます。

したがって、「一度折れた場所は永久に太くなり、以前より丈夫になる」というわけではありません。また、一度骨折した場所が長期的に正常な骨より再骨折しにくくなる、という明確な臨床データも乏しいようです。

むしろ、部位によっては再骨折がよく知られています。

代表的なのが小児の前腕骨骨折です。骨がついたように見えても、骨のリモデリングが十分でない時期に再び転倒すると、同じ部位付近を再骨折することがあります。

一方、大腿骨や脛骨などの長い骨では、骨折の治癒過程で大きな仮骨が形成され、骨折部がかなり太くなることがあります。この時期には骨折部の強度が増すこともありますが、それが将来にわたって「以前より丈夫な骨」になることを意味するわけではありません。

椎体骨折では、さらに事情が異なります。同じ椎体が再び圧潰して高さを失うこともありますし、隣の椎体に新たな骨折を生じることもあります。

特に骨粗鬆症が背景にある場合、最初の椎体骨折は「一度折れたから、もう折れにくくなった」という意味ではありません。むしろ、一度骨折した人は次の骨折を起こす危険性が高いことが知られており、骨粗鬆症の評価や治療が重要になります。

結局、「一度骨折した場所は二度と骨折しない」というのは正確ではありません。

骨折が治る途中では、仮骨によって一時的に骨が太くなり、強度が増すことはあります。しかし、それが「一度骨折すると、そこは一生折れにくくなる」という意味ではないのです。

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