頚椎神経根症では、首から腕、手にかけて痛みやしびれが生じます。首の神経が椎間板や骨棘などによって刺激されることが主な原因です。
薬や神経根ブロックなどによって痛みを軽減できることがあります。しかし、痛みが軽くなったからといって、神経を刺激している状態そのものがすぐに解消したとは限りません。
大切なのは、痛みを我慢して動かすことでも、首をまったく動かさず安静にすることでもありません。
「腕や手の痛み・しびれが強くなる姿勢や動作を避けながら、できる範囲で普段の生活を続ける」ことが基本です。
避けたい姿勢・動作
上を向いたり、症状のある側へ首を倒したり、ひねったりすると、腕の痛みやしびれが強くなることがあります。このような姿勢を長く続けないようにしましょう。
高い棚の物を取る、洗濯物を干す、剪定、電球交換など、上を向いて行う作業にも注意が必要です。必要な場合には踏み台などを使い、できるだけ首を反らさずに行います。
スマートフォンを膝の上に置いて長時間見ることも避け、画面を胸から目の高さに近づけます。
重い荷物を症状のある側だけで持たず、できるだけ両手で体に近づけて持ちましょう。台車やキャスターを利用するのもよい方法です。
痛みを我慢して首を大きく反らしたり回したりする体操や、強いマッサージは行わないようにしてください。
仕事・運転の工夫
パソコン画面はできるだけ正面に置き、前腕を机や肘掛けで支えます。同じ姿勢を長時間続けず、30分程度を目安に姿勢を変えましょう。
電話を肩と耳の間にはさんで話す姿勢も避けます。頭上での作業、振動工具の使用、重量物を繰り返し持ち上げる作業などで症状が増える場合には、一時的に減らす必要があります。
運転では、ミラーやバックモニターを利用し、後方を見るときには首だけでなく体全体を回すようにします。安全確認に必要な範囲まで首を動かせない場合には、運転を控えてください。
寝方・枕
うつ伏せでは首を長時間ひねることになるため、症状が悪化する場合には避けましょう。
仰向けまたは横向きで、首が大きく曲がったり反ったりしない高さの枕を選びます。「何cmの枕がよい」と一律に決めることはできません。翌朝の腕の痛みやしびれが少ない高さを目安にしてください。
腕の下に枕やクッションを入れて支えると、楽になることもあります。
日常生活で行ってよいこと
完全な安静は必要ありません。
歩行、軽い家事、短時間の仕事などは、腕や手の症状が強くならない範囲で続けてかまいません。
入浴や温めによって楽になる場合には行ってかまいませんが、浴槽で首を後ろに反らした姿勢を長く続けないようにしましょう。
症状のある腕が重く感じる場合には、肘掛け、机、クッションなどを利用して前腕を支えると楽になることがあります。
痛みが落ち着いてきたら、状態に応じて頚部や肩甲帯の運動を徐々に再開します。
頚椎カラーや神経根ブロックについて
頚椎カラーは、痛みの強い時期に一時的に使用すると楽になることがあります。しかし、必要以上に長期間装着するものではありません。
神経根ブロックは、神経根周囲に薬剤を注射して痛みを軽減する治療です。強い痛みを短期間軽減し、睡眠をとれるようにしたり、日常生活やリハビリテーションへ戻りやすくしたりする目的で行われることがあります。
ただし、神経根ブロックによって痛みが軽くなっても、椎間板や骨棘による椎間孔の狭窄など、神経を刺激している構造そのものが元に戻ったわけではありません。
そのため、注射で楽になった直後に、症状を悪化させていた姿勢や作業を一気に再開しないことも大切です。
早めに受診した方がよい症状
次のような症状がある場合には、早めに整形外科を受診してください。
・手や腕の力が急に低下した、または徐々に悪化している
・箸、ボタン、書字など、手先の細かな動作がしにくくなった
・歩きにくい、ふらつく
・両手や両足にも症状が出てきた
・発熱を伴う、安静にしていても強く痛む
・排尿や排便に異常が生じた
・強い痛みで眠れない状態が続く
・数週間たっても改善しない
頚椎神経根症では、「首が痛むか」だけで生活動作を判断するのではなく、「その動作によって腕や手の痛み・しびれが強くならないか」を一つの目安にすることが大切です。

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