昨日、「なぜ人間の指は5本なのか」を考えてみました。
では、もし人間の指が最初から4本だったら、私たちの世界はどうなっていたのでしょうか。
単に指が1本少ないだけではなく、数字や道具、音楽など、文明そのものが今とは少し違っていたかもしれません。
まず変わっていた可能性があるのが、数の数え方です。
現在、私たちは10進法を使っています。
0から9まで数えると桁が一つ上がって10になります。
人間が10進法を使うようになった理由の一つとして、両手に10本の指があり、指を使って数を数えてきたことが考えられています。
もし片手に4本、両手で8本の指しかなかったら、8を一区切りとする8進法が発達していたかもしれません。
現在の8は「10」、64は「100」と表記される世界です。
そうなると、数だけでなく、さまざまな単位にも8を基準とした体系が入り込んでいた可能性があります。
例えば、現在の円は360度に分けられています。
これは古代の60進法や天文学などに由来するもので、指が5本だから360度になったわけではありません。
しかし、8進法を使う文明が数学や測量の体系を一から作っていたら、円を256等分するような方法を採用した可能性もあります。
256は8進法では「400」です。
その場合、直角は現在の90度ではなく64単位となり、8進法では「100」です。
直角がちょうど100になるわけですから、なかなか使いやすそうです。
時間の表し方も違っていたかもしれません。
もちろん、地球が1回自転する時間そのものは変わりません。
しかし、その1日を現在のように24時間に分けるのではなく、8や64を基準として分割する時間体系が作られていた可能性はあります。
時計の文字盤も、今とはまったく違ったものになっていたでしょう。
道具も変わります。
手袋は当然4本指用です。
箸、ハサミ、ペン、楽器、コンピューターのキーボードなど、人間が手で操作するあらゆる道具が、4本指を前提として設計されていたはずです。
しかし、ここで重要なのは、人間の手が現在の5本指の手から単純に小指を1本取り除いた形になっていたとは限らないことです。
もし4本指の状態で長い進化を続けていたなら、その4本に適した手の形が作られていたはずです。
例えば母指を含めて4本だったとすると、現在の薬指に相当する最も尺側の指が、現在の小指の役割の一部を担っていたかもしれません。
少し短くなり、その中手骨の可動性が大きくなって、手掌をカップ状にして物を包み込むように握る働きを担っていた可能性もあります。
つまり、4本指の手は「5本指より不便な手」ではなく、4本指なりに最適化された別の手になっていたでしょう。
ピアノも面白いところです。
現在のピアノ演奏は、5本の指を前提として運指が発達しています。
もし人間が4本指なら、現在と同じピアノを弾くには不便だったでしょう。
しかし、そもそも現在と同じピアノが作られたでしょうか。
鍵盤の幅や配置、1オクターブの設計、和音の作り方、ペダルの役割などが4本指に合わせて発達し、現在とは違う楽器になっていた可能性があります。
そして、そこから生まれる音楽も少し違っていたかもしれません。
もちろん、4本指だから単純な音楽しか作れないということではありません。
4本指に最適化された、現在とは別の高度な演奏技術と音楽文化が発達していたでしょう。
私たちは「人間の指は5本あるのが普通」と考えています。
しかし、それは5本指の身体を持って生まれ、5本指を前提として作られた世界で暮らしているからです。
もし人類が最初から4本指だったら、4本しかないことを不便だとは思わなかったでしょう。
道具も、楽器も、数字も、単位も、その身体に合わせて作られていたはずです。
「5本指だから現在の文明ができた」というより、
「5本指という人間の身体に合わせて、現在の文明ができた」
と考える方が自然なのかもしれません。

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