滑液包穿刺の点数の取り方について

滑液包炎などで滑液包内に液体が貯留し、穿刺して吸引することがあります。この場合、診療報酬はどの項目で算定するのが適切でしょうか。

また、膝の後方にできるベーカーのう腫を穿刺した場合、関節穿刺として算定できるのでしょうか。

1.滑液包穿刺には処置と注射の項目がある

診療報酬点数表には、滑液包に関する項目が処置と注射の両方にあります。

  • J116-2「粘(滑)液嚢穿刺注入」(処置)
  • G010-2「滑液嚢穿刺後の注入」(注射)

両者は同じ点数ですが、処置と注射という違いがあります。

滑液包を穿刺して貯留液を吸引するだけで、薬剤を注入しない場合は、J116-2で算定するのが適切と考えます。

一方、穿刺後に薬剤を注入した場合は、G010-2による算定も考えられます。

2.薬剤を注入した場合はどちらで算定するのか

薬剤を注入した場合、J116-2とG010-2のどちらで算定するかという問題があります。

両者は同じ点数ですが、J116-2は処置、G010-2は注射です。この違いは外来管理加算の算定にも関係します。

他に処置がなく、滑液包への薬剤注入が主な目的であれば、G010-2でよいと考えます。

他の処置を行っている場合には、穿刺による排液が主な目的であればJ116-2、薬剤注入が主な目的であればG010-2という考え方もあるでしょう。

ただし、これは私の考え方であり、両者の選択について全国一律の明確な取扱いを確認したものではありません。

3.ベーカーのう腫の穿刺は関節穿刺ではない

ベーカーのう腫(Baker嚢腫)は、膝の後方にできる滑液の貯留による病変です。

一般に、半膜様筋腱と腓腹筋内側頭の間にある滑液包が拡張して形成されます。

ベーカーのう腫は膝関節腔と交通していることがありますが、ベーカーのう腫を直接穿刺することと、膝関節腔を穿刺することは別の手技です。

したがって、ベーカーのう腫を直接穿刺して内容液を吸引した場合、関節穿刺として算定するのは適切ではないと考えます。

この場合は、J116-2「粘(滑)液嚢穿刺注入」による算定を検討するのが妥当でしょう。

4.ベーカーのう腫は「膿腫」ではない

ベーカーのう腫については、もう一つ注意したいことがあります。

標準病名は「ベーカーのう腫」です。

一方、診療報酬にはJ059-2「血腫、膿腫穿刺」という項目があります。

ここで注意したいのは、「のう腫(嚢腫)」と「膿腫」は全く異なるものだということです。

嚢腫は液体などが貯留した袋状の病変であり、膿腫は膿が貯留した病変です。

ベーカーのう腫の内容液は通常、滑液であり、膿ではありません。

したがって、通常のベーカーのう腫を穿刺した場合に、J059-2「血腫、膿腫穿刺」で算定するのは適切ではありません。

もちろん、ベーカーのう腫に感染を伴う場合は別ですが、その場合には感染を示す所見などに基づいて判断する必要があります。

5.まとめ

滑液包穿刺には、処置のJ116-2「粘(滑)液嚢穿刺注入」と、注射のG010-2「滑液嚢穿刺後の注入」があります。

穿刺のみの場合はJ116-2、薬剤注入を伴う場合はG010-2も選択肢になると考えます。

また、ベーカーのう腫を直接穿刺する場合は、膝関節穿刺とは異なります。

さらに、ベーカーのう腫は膿腫ではないため、通常のベーカーのう腫穿刺を「血腫、膿腫穿刺」として算定することも適切ではありません。

診療報酬は、病名の文字だけでなく、実際にどこを穿刺し、何を行ったのかによって判断すべきだと考えます。

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