人間の指はなぜ5本?

人間の手には5本の指があります。

当たり前すぎて普段は疑問に思いませんが、なぜ4本でも6本でもなく、5本なのでしょうか。物をつかむためには5本が最適で、必然的にそうなったのでしょうか。

調べてみると、最初から脊椎動物の指が5本だったわけではありません。

約3億7000万年前に水中から陸上へ進出し始めた初期の四肢動物には、6本以上の指をもつものもいました。その後の進化の過程で5本指(五指型)が基本形となり、現在の四肢動物へ受け継がれてきたと考えられています。

つまり、「物をつかむには5本が最も優れているから、5本になった」という単純な話ではないようです。

いったん五指型という基本設計が成立すると、四肢の発生を制御する遺伝子の仕組みと自然選択の中で、その基本形が長く受け継がれてきました。

もちろん、すべての動物が現在も5本の指をもっているわけではありません。進化の過程で、馬では指がほぼ1本になり、鳥でも指の数は減少しています。しかし、これらも五指型の四肢をもった祖先から進化してきた動物です。

人間の手も、この5本指という基本設計の上で進化してきました。

母指は他の指と向かい合わせる対立運動が発達し、示指や中指は細かな操作に重要です。一方、環指や小指側は物を包み込んだり、強く握ったりするときに大きな役割を果たします。

5本それぞれが同じ形、同じ長さではなく、それぞれ異なる役割を担うようになっています。

では、「人間の指が5本なのは必然か偶然か」と聞かれたら、どう答えればよいのでしょうか。

おそらく、「5本が最適だから5本になった」と考えるより、進化の歴史の中で五指型という基本設計が成立し、その後、その5本を利用する方向にさまざまな機能が発達してきた、と考えるのがよさそうです。

前の記事で取り上げた小指も、5本の中では最も小さい指ですが、握力には意外なほど大きく貢献しています。

「5本だから便利なのか、それとも5本ある手を便利に使えるように進化したのか」。

人間の手を眺めていると、当たり前に見える5本の指にも、長い進化の歴史が隠れているようです。

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