肩が痛くて腕が上がらない場合、五十肩(肩関節周囲炎)なのか、腱板断裂なのかが問題になることがあります。
とくに凍結肩では、自分で肩を動かす自動運動だけでなく、反対の手や医師が動かす他動運動も制限されます。なかでも、腕を体につけた状態で前腕を外側へ開く「他動外旋」が制限されるのが特徴です。
一方、腱板断裂では、自分の力では腕を上げにくくても、他人に動かしてもらえば比較的よく動くことがあります。そのため診察では、まず「他動外旋が硬いか」をみるのが、両者を見分ける簡便な方法の一つです。
次に、自分で腕を上げられる範囲と他動的に上げられる範囲の差、外旋筋力などを調べます。Jobe test(空き缶テスト)、external rotation lag sign、drop arm signなどの徒手検査も腱板断裂の診断に用いられます。
他動可動域が比較的保たれているのに、自分では腕を上げにくい、あるいは筋力低下が目立つ場合には、腱板断裂を疑います。
ただし、実際にはそれほど単純ではありません。
腱板断裂でも痛みによる拘縮を伴えば外旋が制限されることがあります。また、凍結肩に腱板断裂を合併している場合もあります。そのため、身体所見だけでは完全に鑑別できないこともあります。
エコーやMRIは腱板断裂の診断に有用です。しかし、画像で腱板断裂が見つかったからといって、それが現在の肩の痛みの原因とは限りません。腱板断裂は、肩に症状のない人にもみられるからです。
そのため、「MRIで腱板が切れているから肩が痛い」と画像だけで判断するのではなく、他動外旋の制限、自動運動と他動運動の差、筋力低下などの診察所見と画像所見を合わせて判断することが大切です。
※Jobe test(空き缶テスト)
主に棘上筋を評価するための徒手検査です。腕を上げ、空き缶の中身を捨てるように親指を下へ向けた状態で抵抗を加え、痛みや筋力低下がないかを調べます。ただし、この検査だけで腱板断裂の有無を確定することはできません。

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