なぜ足関節には原発性変形性関節症が少ないのか?

股関節や膝関節には加齢に伴う原発性変形性関節症が多くみられますが、同じ荷重関節である足関節では、原発性OAは比較的まれです。足関節OAの多くは、果部骨折、脛骨天蓋骨折、靱帯損傷、慢性足関節不安定症などに続発する外傷後OAです。大きな荷重を受ける足関節に、なぜ原発性OAが少ないのでしょうか。

第一に、正常な距腿関節は関節面の適合性が高く、距骨滑車が脛腓骨で構成されるモルティスにしっかり収まっています。膝関節より自由度が小さく、正常な位置関係が保たれていれば、荷重が比較的広い範囲へ均等に分散されます。ところが、骨折や靱帯損傷によって距骨がわずかに偏位すると、接触面積が減少し、局所的な接触圧が急激に高くなります。足関節は荷重に強いというより、精密な関節適合性によって守られている関節と考えられます。

第二に、足関節軟骨には膝関節軟骨とは異なる性質があります。足関節軟骨は膝より薄いものの、プロテオグリカン濃度が高く、水分が比較的少なく、圧縮に対する剛性が高いとされています。また、軟骨細胞密度や基質合成能が比較的高く、炎症性サイトカインなどによる軟骨基質の分解に対しても、膝軟骨より抵抗性を持つ可能性があります。つまり、足関節は関節の形だけでなく、軟骨そのものにも荷重に耐える特性があるようです。

結局、足関節に原発性OAが少ない理由は、高い関節適合性による荷重分散と、足関節軟骨の生物学的・力学的な耐久性の両方にあると考えられます。一方、その精密な適合性が外傷によって崩れると、局所的な過負荷が生じ、外傷後OAへ進みやすくなります。「足関節はOAになりにくい関節ですが、ひとたび配列が崩れるとOAになりやすい関節でもある」という点が興味深いところです。

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