リリカなどの運転禁止薬剤にどう対応すべきか

リリカ(プレガバリン)などを処方するとき、「この薬を飲んでいる間は車を運転してはいけません」と説明されることがあります。

しかし、法律上は「この薬を飲んでいるから自動車を運転してはいけない」と薬剤名ごとに定められているわけではありません。

道路交通法第66条が禁止しているのは、薬物などの影響によって「正常な運転ができないおそれがある状態」で車両を運転することです。

つまり、道路交通法は「特定の処方薬を飲んでいるかどうか」ではなく、実際に安全に運転できる状態かどうかを問題にしています。日本医事新報でも、この点について、ある処方薬を服用していることだけを理由に自動車運転を禁止する規定は道路交通法にはない、と指摘されています。

一方、医療用医薬品の添付文書には、自動車運転について「禁止」または「注意」とされている薬剤があります。

たとえばプレガバリンでは、めまい、傾眠、意識消失などが現れ、自動車事故に至った症例も報告されているため、添付文書上は自動車の運転など危険を伴う機械操作に従事させないよう注意することとされています。

さらに厚生労働省は、添付文書に運転禁止・注意の記載がある医薬品を処方または調剤する際には、医師・薬剤師から患者への注意喚起を徹底するよう求めています。

ここに、法律と添付文書の少し分かりにくい関係があります。

法律では、薬を服用しているだけで一律に運転禁止としているわけではありません。しかし、添付文書上「運転させないよう注意する」とされている薬剤について、医師がその記載を無視してよいということでもありません。

実際の診療では、

・その薬に運転禁止・注意の記載があるか
・眠気、めまい、ふらつき、意識障害などが実際に出ていないか
・患者さんが日常的に自動車を運転する必要があるか
・運転への影響がより少ない別の薬剤へ変更できないか

などを考える必要があります。

特に地方では、自動車を運転できないことが、そのまま通勤や日常生活に大きな支障となることがあります。

したがって、「リリカを処方したから、とにかく車には乗らないでください」で終わるのではなく、運転が必要な患者さんでは、薬剤選択そのものを見直すことも重要です。

一方で、実際に眠気やめまいなどが出ているにもかかわらず運転することは、道路交通法第66条との関係でも問題になります。

結局、

「運転禁止薬を飲んでいるから法律上一律に運転禁止」

なのではなく、

「法律は正常な運転ができない状態での運転を禁止している。一方、添付文書上運転禁止・注意とされている薬剤については、医療者として十分な説明と安全への配慮が必要」

と整理するのが適切だと思います。

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