産後のド・ケルバン病は第1子のときに多い?

出産後、赤ちゃんを抱いたり授乳したりしているうちに、親指側の手首が痛くなることがあります。

代表的なものが「ド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」です。

診療していると、第2子、第3子の出産後よりも、第1子の出産後に受診する患者さんが多いような印象があります。

実際はどうなのでしょうか。

2024年に医学雑誌『HAND』に掲載された研究では、出産後1年以内に初めてド・ケルバン病と診断された女性63人と、同じ地域で出産した女性630人が比較されています。

第1子の出産だった割合は、

ド・ケルバン病群 34/63人(53.9%)
対照群      207/630人(32.8%)

でした。

統計学的に検討すると、第1子の出産は産後のド・ケルバン病と有意に関連していました。

では、なぜ第1子の出産後に多いのでしょうか。

著者らはいくつかの可能性を考察しています。

初めて赤ちゃんを育てる場合には、抱き上げたり授乳したりするときに、手首を強く曲げたり小指側へ傾けたりする姿勢をとりやすい可能性があります。

一方、第2子以降では、すでに育児を経験しているため、手首に負担をかけにくい抱き方を身につけているのかもしれません。

もう一つ考えられるのが、「受診するかどうか」の違いです。

第1子の出産後にド・ケルバン病を経験した人は、装具の使い方や痛いときの対処法、時間とともに改善することがあるという自然経過などをすでに知っています。

そのため、第2子以降の出産後に同じような症状が出ても、「また同じものだろう」と考えて医療機関を受診しない可能性があります。

つまり、この研究だけから「第2子以降ではド・ケルバン病そのものが少なくなる」と断定することはできません。

実際の発症が少ない可能性と、発症しても医療機関を受診する人が少ない可能性の両方が考えられます。

当院でも、産後のド・ケルバン病は第1子出産後の患者さんが多いように感じます。

初めての育児では、赤ちゃんの抱き方にも慣れていません。親指を大きく開いて手首だけで赤ちゃんの頭や体を支えるのではなく、前腕全体を使って支えるなど、手首への負担を減らす工夫も大切だと思います。

コメント