100歳でもばね指は起こる?超高齢者のばね指を考える

骨粗鬆症で通院中の100歳代の患者さんから、母指がカクンと引っかかるという訴えがありました。いわゆる「ばね指」です。糖尿病もありました。

ばね指は、指を曲げる腱とA1 pulley(腱を骨に沿わせる滑車状の組織)との間で滑りが悪くなり、指の曲げ伸ばしの際に引っかかりや弾発現象が生じる病気です。

「手を使いすぎるとなる病気」と説明されることもありますが、実際にはそれほど単純ではありません。反復動作や機械的負荷は一つの誘因になり得ますが、近年の研究でも、職業や手の反復使用とばね指との関連は必ずしも一定していません。

ばね指は、腱とA1 pulleyとのmechanical mismatchを基盤として、加齢、性別、糖尿病、手根管症候群など複数の要因が関係する多因子性の疾患と考えられています。

一般にばね指は中高年に多く、女性では50歳代前後に多いとされています。その後は減少する傾向がありますが、高齢者にまったく起こらなくなるわけではありません。

当院でこれまで診療した成人ばね指1,363指を調べると、90歳以上は19指、約1.4%でした。超高齢者ではかなり少ないものの、実際に発症することはあります。

今回、100歳代で新たにばね指を発症した患者さんを経験し、「高齢になると手を使わなくなるから、ばね指もほとんど起こらない」と単純に考えるのは適切ではないと感じました。

糖尿病などの背景因子や、腱・腱鞘そのものの加齢変化、個人差なども関係しているのでしょう。ばね指の発症は、単なる「使いすぎ」だけでは説明できません。

一方、ヘバーデン結節などの手指変形性関節症は年齢とともに増えることが知られていますが、100歳以上で新たに症状が出現した人だけを対象としたデータはほとんどありません。長寿者では一般集団より手指OAが少なかったとする報告もあり、非常に高齢まで生きる人では、筋骨格系の老化そのものに違いがある可能性も考えられています。

100歳を超えてもばね指は起こり得ます。珍しい症例ですが、ばね指が単なる「使いすぎの病気」ではないことを改めて考えさせられました。

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