22歳の女性が頚部痛で受診しました。数日前に会社の近くの医療機関を受診したとのことで、「レントゲンに異常はありませんでしたか?」と尋ねると、「若いからレントゲンを撮る必要はありませんと言われました」と話されました。
若い人の頚部痛だからといって、すべての患者さんにレントゲン撮影が必要なわけではありません。神経症状がなく、外傷歴もなく、診察上も特に問題がなければ、画像検査を行わず経過を見ることは十分あり得ます。
ただし、「若いから撮らなくてよい」という判断と、「診察した結果、撮影は必要ない」という判断は、少し意味が違うように思います。
今回の患者さんには、しびれや筋力低下などの神経学的異常はありませんでしたが、頚椎の屈曲・伸展に明らかな制限がありました。そのため当院では単純X線撮影を行いました。
画像では頚椎前弯の消失と下位頚椎の後弯傾向がみられ、屈曲・伸展撮影でも頚椎の動きはかなり乏しい状態でした。ただし、このようなアライメントの変化がそのまま痛みの原因を示すわけではありません。頚椎前弯の減少やいわゆるストレートネックは、無症状の人にもみられることがあります。
大切なのは、画像所見そのものよりも、まず診察で何が分かったかです。
頚部痛の診察では、いつから、どのような状況で痛みが始まったのか、外傷はなかったか、痛みが肩や腕に広がっていないか、しびれや筋力低下はないかなどを確認します。さらに、頚椎の可動域、圧痛、神経学的所見などを診察します。
そのうえで、骨性病変やアライメントを確認した方がよいと考えられる場合には、若年者でもレントゲン撮影を検討します。一方、診察上問題がなく、画像検査によって得られる情報が少ないと判断すれば、撮影しない選択もあります。
患者さんのお話では、前医では頚椎の可動域などについて詳しい診察は受けなかったとのことでした。もちろん、実際にどのような診察が行われたかをこちらで確認することはできません。しかし、少なくとも患者さん自身には「若いからレントゲンは必要ない」という説明だけが残っていたようです。
画像検査を省略すること自体が問題なのではありません。重要なのは、その判断に問診や診察所見の裏付けがあることだと思います。
「若いからレントゲンは必要ない」のではなく、まず診察をして、その結果として「この患者さんにはレントゲンは必要ない」と判断する。反対に、診察で気になる所見があれば、若年者でも必要な検査を考える。
年齢だけで検査の要否を決めるのではなく、患者さん一人ひとりの症状と診察所見から判断することが大切なのだと思います。

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