令和8年度診療報酬改定では、予防接種や健康診断と同日に、これらと直接関係のない疾病について保険診療を行った場合、初診料・再診料を算定できることが明確化されました。予防接種と保険診療を同日に行うと再診料を算定できない、という説明は正確ではありません。
インターネット上には、過去の取扱いに基づき、予防接種と同日の再診料は算定できないと説明するサイトもありますが、令和8年度改定では取扱いが明確化されています
ポイントは、単に「健診や予防接種と同じ日に保険診療をしたか」ではありません。
その保険診療が、健診等と関係する疾病についての診療なのか、それとも健診等とは直接関係のない疾病についての診療なのかで扱いが異なります。厚生労働省の令和8年度改定資料でも、この2つを分けて整理しています。
骨粗鬆症検診と、別の整形外科疾患の再診
例えば、変形性膝関節症で当院に定期通院している患者さんが、同じ日に骨粗鬆症検診を受けたとします。
その日に通常どおり変形性膝関節症の診察も行えば、膝関節症の診療は骨粗鬆症検診とは直接関係のない保険診療です。
この場合は、同じ1回の受診の中で行われても、変形性膝関節症の診療について再診料を算定できます。
厚生労働省の資料でも、「健診等と直接関係のない疾病に対して保険診療を実施する場合」は、通院中患者について同日1回の受診でも「再診料等を算定」と明示されています。
骨粗鬆症検診で異常が見つかり、そのまま骨粗鬆症を診療した場合
一方、骨粗鬆症検診を受け、その結果から骨粗鬆症またはその疑いが判明し、その同じ1回の受診の中で骨粗鬆症の保険診療を開始した場合は事情が異なります。
これは「健診等に関する疾病」に対する保険診療となるため、同日1回の受診では初診料・再診料等は算定できません。
ただし、初・再診料が算定できないからといって、その日の保険診療がすべて算定できないわけではありません。
健診の一環としてあらかじめ予定されていたものではなく、健診結果を受けて治療方針を決めるために新たに必要となった検査については、一定の条件のもとで保険診療として算定できます。また、治療が必要と判断して開始した投薬、注射、処置などについても、通知で算定不可とされているものを除き算定できます。
インフルエンザワクチンと通常の再診
整形外科でもインフルエンザワクチン接種を行っている医療機関があります。
例えば、変形性膝関節症や骨粗鬆症で定期通院している患者さんが、通常の診察日にインフルエンザワクチンも接種した場合はどうでしょうか。
膝関節症や骨粗鬆症の診療は、インフルエンザ予防接種とは直接関係ありません。
したがって、
「骨粗鬆症の定期診察+インフルエンザワクチン接種」
「変形性膝関節症の定期診察+インフルエンザワクチン接種」
といった場合には、通常の保険診療について再診料を算定できます。
予防接種を同じ日に行ったというだけで、再診料が算定できなくなるわけではありません。
「同じ日に健診や予防接種をしたら再診料は取れない」ではない
今回の改定で重要なのはここだと思います。
単純に、
「健診や予防接種と同じ日に保険診療をしたら初診料・再診料は算定できない」
というルールではありません。
整理すると、
健診等と直接関係のない疾病を診療した場合
→ 初診料・再診料を算定できる
健診等に関係する疾病を、同じ1回の受診の中で診療した場合
→ 初診料・再診料は算定できない
ということになります。
整形外科で考えると、
「骨粗鬆症検診+変形性膝関節症の定期診療」は再診料算定可、
「骨粗鬆症検診で骨粗鬆症が判明し、そのまま同じ受診で骨粗鬆症の保険診療を開始」は初・再診料算定不可、
「インフルエンザワクチン+骨粗鬆症や変形性関節症の定期診療」は再診料算定可、
と考えると分かりやすいと思います。

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