整形外科の外来では、診察後に処方箋を交付しても、患者さんが薬局で薬を受け取らないことがあります。
例えば、鎮痛薬と湿布を処方したものの、薬局に行ってから「湿布は家にあるのでいらない」「痛み止めは飲みたくない」と申し出る場合です。
また、処方箋を受け取ったものの、結局薬局に行かない患者さんもいます。
このような場合、医療機関が算定した一般名処方加算はどうなるのでしょうか。
結論から言えば、一般名処方加算は、患者さんが薬局で実際に薬を受け取ったかどうかではなく、医療機関が一般名を記載した処方箋を交付したことに対する加算です。
したがって、処方箋交付後に患者さんが薬を受け取らなかったという理由だけで、一般名処方加算を取り消す必要はありません。
1.一般名処方加算の算定要件
令和8年度の診療報酬では、一般名処方加算について次のように規定されています。
6 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付した場合は、当該処方箋の内容に応じ、次に掲げる点数を処方箋の交付1回につきそれぞれ所定点数に加算する。
イ 一般名処方加算1 8点
ロ 一般名処方加算2 6点
ここで重要なのは、「薬剤を調剤した場合」でも「患者が薬剤を受け取った場合」でもなく、「処方箋を交付した場合」と規定されていることです。
つまり、一般名処方加算の算定要件は、医療機関が交付した処方箋の内容によって判断されます。
薬局での調剤結果によって、医療機関が算定した一般名処方加算が自動的に変更されるわけではありません。
2.薬局で「湿布はいらない」と言われた場合
例えば、整形外科で次の2種類の薬剤を一般名で処方したとします。
- ロキソプロフェンナトリウム錠
- ロキソプロフェンナトリウムテープ
ところが、患者さんが薬局で「湿布は家にあるので、飲み薬だけでよい」と申し出た場合です。
薬局で湿布が調剤されなかったとしても、医療機関が交付した処方箋に湿布が記載されていたという事実は変わりません。
したがって、患者さんが湿布を受け取らなかったという理由だけで、一般名処方加算を減点する必要はないと考えられます。
ただし、薬局から医療機関に疑義照会があり、医師が処方内容の削除や変更を指示した場合には、単なる患者さんの受取辞退とは区別して考える必要があります。
3.処方箋を受け取ったが、薬局に行かなかった場合
患者さんが処方箋を受け取ったものの、薬局に行かず、薬をまったく受け取らなかった場合はどうでしょうか。
この場合も、医療機関はすでに処方箋を交付しています。
一般名処方加算は処方箋の交付に対する加算ですから、患者さんが薬局に行かなかったことを理由に、算定が無効になるわけではありません。
同様に、処方箋の使用期間が過ぎてしまい、結果的に薬が調剤されなかった場合も、処方箋を交付したという事実は変わりません。
医療機関における処方箋の交付と、薬局における薬剤の調剤は、別の行為として評価されているのです。
4.薬局で一部の薬剤が削除された場合
少し判断が難しいのは、薬局から疑義照会があり、医師の了承を得て処方内容を変更した場合です。
例えば、一般名で3種類の薬剤を処方したものの、薬局からの疑義照会によって1種類が削除された場合です。
このとき、一般名処方加算の区分が変更になるのでしょうか。
一般名処方加算は、処方箋の内容に応じて算定するものです。
そのため、処方箋の内容自体が訂正された場合には、訂正後の内容が加算区分の要件に影響するかどうかが問題となる可能性があります。
ただし、処方箋交付後の疑義照会による変更が、医療機関の一般名処方加算の算定区分にどのように影響するかについては、個別の取扱いを確認する必要があります。
少なくとも、薬局で患者さんが薬を受け取らなかったという事実だけで、加算区分が変更になると考える必要はありません。
5.医療機関と薬局では算定の対象が異なる
医療機関では、処方箋を交付したことに対して処方箋料が算定され、その内容に応じて一般名処方加算が加算されます。
一方、薬局では、実際に行った調剤などに対して調剤報酬が算定されます。
したがって、医療機関が一般名処方加算を算定していても、患者さんが薬局で薬を受け取らないことはあり得ます。
両者の算定対象が異なるためです。
まとめ
一般名処方加算は、医療機関が一般名を記載した処方箋を交付した場合に算定するものです。
そのため、患者さんが薬局で薬を受け取ったかどうかは、原則として一般名処方加算の算定要件とは関係ありません。
例えば、処方箋を交付した後に患者さんが「湿布はいらない」と申し出た場合や、処方箋を薬局に持参しなかった場合でも、それだけを理由に一般名処方加算を取り消す必要はありません。
一般名処方加算は、薬を受け取ったことに対する加算ではなく、一般名を記載した処方箋を交付したことに対する加算です。
診療報酬の規定にある「処方箋を交付した場合」という文言を、そのまま理解すればよいのではないでしょうか。

コメント