それは突然に

私はトイレに入り便座に座った。その直後、私は広大な空間の中にいたのである。見渡す限り空間以外の何もないただただ広く、果てを見てもどこまで続いているかはわからなかった。その空間に入って直ぐのことだった。身体の芯奥から歓喜が湧き上がってきたのである。湧き上がる歓喜は次から次へと続き、私はその歓喜の海の中で歓喜以外の何ものをも感じることはなく、歓喜以外の何も欲することはなかった。
涙が流れた。どれほどの時を歓喜に浸っていたのであろうか。しかし、私にはしなければならないことがありますと歓喜に祈願したのである。
ようやく歓喜の波が収まり、目の前にトイレのドアが現れたのである。
私はその後も幾度となくその歓喜を体験している。