体験記(その3)

2001年8月、私がインド国プッタパルティのババのアシュラム「プラシャンティニラヤム」から帰国する時のことです。

バンガロール空港で搭乗するため、手荷物検査を受ける人の列に私は並んだのです。私の前には、20人位の人が並んでいました。

私が列に並ぶとすぐに若い男性の空港職員が私のところに来て、一緒に来るようにと言って私を列の一番前まで連れて行ってくれたのです。彼は、検査をしている女性職員に対し私の手荷物を先にするようにと言ったのか、女性職員は、他の人の手荷物検査を中断して私の手荷物を先に検査してくれたのです。

手荷物検査が終わり、空港の建物を出てリムジンバスに乗るため階段を下りようとしたのですが、その彼が来て、階段を下りる私の手助けをしてくれたのです。リムジンバスが来て、彼は私の手を引いてバスに乗るのを手伝った後バスから降り、その場所で他の乗客が乗り込むのを見ていました。私は、乗客が乗り終わるのを待ってから彼は建物に戻るのだろうと思っていたのですが、乗客が乗り終わると、彼はバスに乗り込んできたのです。

バスは旅客機のすぐ側で止まりました。バスから降りようとして席を立ちますと、同行していた細川さんが私が降りるのを手助けしようとしたのですが、彼はそれを無視して私の手を取りバスから下ろしてくれたのです。

バスから降りますと彼は、ボーディングチケットを見せるようにと私に言うのです。ボーディングチケットを渡しますと、彼はそのチケットを持ち私を機の後ろのタラップまで案内した後、私の手を取って私がタラップを上がるのを助けてくれた上、機内まで連れて行ってくれたのです。

彼はそこで戻るのだろうと思ったのですが、彼は、機内で客室乗務員に私のボーディングチケットを見せて何か話をしているのです。その後で分かった事は、私の席が機の中央付近であったので、彼は、私の席を後ろの出入り口近くの席に替えるようにと言って交渉してくれていたのです。私は後ろから二番目の通路側の席に座れることになったばかりでなく、彼は、私と同行していた細川さんをも私の隣に座れるように交渉してしてくれていたのです。彼は、私と細川氏を後部座席に座れるように交渉してくれた後、客室乗務員と二言三言話をし、機内を降りたのです。

彼は、私を機内に座らせるまで私の移動を助けてくれた上、私や同行していた細川さんの席を変更させ、私が狭い機内で不自由しないようにと細やかな気配りまでしてくれたのです。

彼は空港建物内での仕事があったにもかかわらず、実に親切に私の面倒を見てくれたのです。それは、私の予測の及ばないほどの親切だったのです。

機は時間通り出発し、機内で朝食を摂リ終わって間もなく、旅客機はムンバイ空港に到着しました。

ムンバイ空港に到着した後分かったのですが、彼の親切にはまだ続きがあったのです。私が磯から降りようとして席を立ちますと、女性の客室乗務員が来て座っているようにと言うのです。その時私は、降りる乗客で混雑しているから待っているようにということだろうと思ったのです。

私以外の全ての乗客が降りましたので、私も降りようとして席を立ったのですが、先ほどの客室乗務員がまだ座っているようにとまた言うのです。そして彼女は、車椅子が来るのでそれまで座って待つようにと言ったのです。彼女によれば、彼が、旅客機がムンバイ空港に着いたら私が車椅子で移動できるようにと、車椅子の手配を頼んでいったということでした。

私は、男性の客室乗務員の手を借りてタラップを降りた後、向かいに来た車椅子に乗って空港内での手続きを済ませ、空港駐車場に待機していたバスの所まで歩かずに行くことができたのです。

私は、これまでにも沢山の人に親切にしていただいていますが、彼のような親切は、初めてでした。

ページトップへ